内藤陽介 Yosuke NAITO
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 表紙のマテリアル
2015-11-15 Sun 17:02
 きょう(15日)は、拙著『英国郵便史 ペニー・ブラック物語』の奥付上の刊行日です。というわけで、プロフィール画像にも使っている表紙カバーで取り上げた郵便物についてご説明いたします。(画像はクリックで拡大されます)

      ペニー・ブラック物語 表紙のマテリアル

 これは、マルレディ・カバーのペニー・ブラック加貼使用例のフロントです。

  18世紀以降、近代国家としての基盤を固めたヨーロッパ諸国では、国家規模での郵便事業が展開されていました。もっとも、当時の郵便は、受取人が料金を支払うシステムになっていたほか、料金も高く、一般人には利用しにくいものでした。

 このため、英国のローランド・ヒルは、便箋の枚数と距離制によって複雑に計算されていた従来の料金体系を全国均一の重量制とし、料金の支払方法も受取人でなく差出人が支払う前納制に変えるなど、合理化・単純化を骨子とした郵便改革を提案します。

 この提案が受け入れられ、1840年1月10日から、1/2オンス以下の書状基本料金を全国1律1ペニーとする統一1ペニー郵便がスタートしました。そして、同年5月、新たな郵便の料金前納の証紙として世界最初の切手ペニー・ブラックが発行されました。これとあわせて、英国政府は、マルレディ・カバーと呼ばれる封筒も発行しています。

 マルレディとは、封筒のデザインを担当したウィリアム・マルレディ(1786-1863)のことで、カバーは封筒の意味。この封筒は、すでに1ペニーの料金込みで販売されたので、切手を貼らなくとも、切手を貼った封筒と同様に料金納付済の扱いで差し出せるようになっています。

 ところで、1ペニーの郵便料金で運べるのは1/2オンスまででしたので、これを越えて1オンスまでの郵便物の料金は倍額の2ペンスが必要でした。そこで、こうした郵便物にマルレディカバーを使う場合には、別途、1ペニーを収めなくてはならず、そのためにペニー・ブラックを加貼した例が存在します。

 ペニー・ブラックを加貼したマルレディ・カバーの真正品は少なく(現在、市場に出てくるものの大半は、マルレディ・カバーに後からペニー・ブラックの使用済みを貼り付けたものです)、それゆえに大変高価なもので(状態の良いものだと、数十万円以上の出費を覚悟しないとなりません)、あいにく、僕自身も現物は入手できていません。今回ご紹介の表紙のマテリアルについては、拙著の担当編集者で、ペニー・ブラックのコレクターでもある千葉晋一さんの所蔵品をお借りして本書の表紙に使わせていただきました。この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。

 なお、今回、このような表紙の本を出した以上、いずれは、僕自身も、ペニー・ブラックを貼ったマルレディ・カバーを入手しなくては格好がつかなくなりました。金銭的な問題もさることながら、そもそも残存数が少ないので、なかなか道は険しく、かなりのプレッシャーではあるのですが、なんとか頑張りたいと思いますので、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。


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