内藤陽介 Yosuke NAITO
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 中華帝国100年
2015-12-12 Sat 10:54
 1915年12月12日、中華民国大総統の袁世凱が皇帝に即位し、国号を中華帝国に改称してから、きょうでちょうど100年です。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      中華帝国開国(5角)

 これは、袁世凱の帝政実施の記念切手として準備されていたものの、結局、発行されないままに終わった3種セットの記念切手のうちの50分切手(の見本)です。

 1912年1月、清朝が倒れて中華民国が発足すると、その実権を握ったのは軍閥の袁世凱でした。

 袁は一貫して、中央の元首が強権を振るうことで初めて中国の混乱を収拾できると考えていました。この点では孫文も同意見です。これに対して、革命後、最高権力者の権限を制限し、議院内閣制を求める国民の声は次第に強まっていくのですが、袁はこれを無視して強権的な政治を行い、1913年には孫文らが起こした反袁の第2革命を封じて、国民党の解散命令を出したうえで、国会内の国民党議員を全員解職しました。

 1914年、第一次世界大戦が勃発すると、日本は日英同盟を理由にドイツに宣戦を布告。当時、中華民国は局外中立を宣言していましたが、9月2日、日本軍は「膠州湾租借地ヲ支那國ニ還付スル」ためという大義名分を掲げて山東半島に上陸し、11月7日には青島を占領しました。しかし、その後は対華21ヵ条要求をつきつけ、旧ドイツ租借地の権益を日本が継承することを中国側に認めさせています。一方、外交の失策と革命後の混乱に憤激した国民の間には、袁の専制を批判する動きが急速に広がっていきました。

 こうした不安定な状況の中で、袁が起死回生の一手として持ち出したのが帝政の復活です。1915年12月12日、彼は、翌1916年より年号を洪憲(憲法を広めるという意味を込めてつけられた名前です)と定め、国号を“中華帝国に改める(ただし、英文の呼称は中華民国を意味する“Republic of China”のままでした)”ことを宣言しました。強力な立憲君主制を導入すれば、国内の混乱は収拾できるというのは彼の目論見だったわけです。

 しかし、結果は予想と正反対のものとなり、北京では学生の反帝政デモが頻発。地方の軍閥はこれを口実に次々と反旗を翻し、国際世論も彼を批判するなど、袁は完全に孤立してしまいます。かくして、彼は1916年3月に慌てて帝政復活の取り消しを宣言したものの、政権は完全にレームダック化。同年6月、失意のうちに亡くなりました。結果的に、彼もまた、“驕れる者は久しからず”という道理から逃れられなかったということなのでしょう。

 こうして“中華帝国”が短命に終わったことで、準備されていた“中華帝国開国紀念”の切手も発行されずに終わり、現在では、今回ご紹介のように“SPECIMEN(見本)”と加刷したものが少数のみ市場に出回っています。


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この記事のコメント
#2396 中国近現代史
 最近、中国近現代史関係の本を読んだり、今月は再上映の「ラストエンペラー」「宋家の三姉妹」を見たりしていたところてす。日本にも大いに関係がある事々。
 ところで違っていたら申し訳ないですが、内藤陽介氏と、かの内藤湖南は御親戚でしょうか。
2015-12-12 Sat 19:12 | URL | いわゐ將軍 #B7q/.fmY[ 内容変更] | ∧top | under∨
・いわゐ將軍様

 わが家の内藤家は出雲・日御碕から享保の頃に出雲大社の門前に出てきた商家で、虎次郎先生は南部藩士の家系ですから、残念ながら、無関係かと…。
2015-12-26 Sat 11:19 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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