内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手歳時記:オリオン
2015-12-22 Tue 10:47
 ご報告が遅くなりましたが、公益財団法人・通信文化協会の雑誌『通信文化』12月号ができあがりました。僕の連載「切手歳時記」では、今回はこの切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

      東京天文台100年

 これは、1978年に発行された“東京天文台100年”の記念切手です。

 冬の星座の代表格と言えば、なんといってもオリオン座でしょう。なにしろ、中島美嘉のヒット曲『ORION』でも、歌詞の中に星座の具体的な名前が一回も登場せず、ただ“冬の星座”とあるだけで、数多の冬の星座を押しのけて、それがオリオン座以外にはありえないことを誰も疑問に思わないほどですから。

 ギリシャ神話に登場する海神ポセイドンの息子、オリオンは狩りを得意とする美丈夫でしたが、自信過剰になって「この世に自分が倒せない獲物はいない」と放言したため、怒ったガイア(大地を象徴する神)がサソリを放ち、その毒針に刺されて亡くなりました。死後、オリオンはサソリとともに天にあげられて星座となりましたが、さそり座を恐れるオリオン座は、さそり座が西へ沈んでしまうまでは決して東から顔を出さず、サソリ座が東の空へ現われると西へ沈んでしまうとされています。

 オリオン座を構成する星の中で最も明るい星は、オリオンの左の膝の上にある青白い星のリゲルで、2番目に明るいのが右肩にあたる赤色のベテルギウスです。日本では、青白色のリゲルを源氏の白旗に、ベテルギウスの赤色を平家の赤色になぞらえ、それぞれ、源氏星、平家星という呼名がありました。

 この点で、今回ご紹介の“東京天文台100年”の記念切手は、三つ星をはさんで白いリゲルと赤いベテルギウスがしっかりと描き分けられているのが嬉しいところです。

 東京天文台のルーツは、1878年に設置された東京帝国大学理学部観象台です。観象台は、東京の本郷元富士町の文部省用地で天文・気象の観測を行っていましたが、1882年に気象台が分離されて天象台となり、さらに、1888年には海軍水路部観象台を合併して東京天文台となりました。そして、それに伴い、文部大臣の管理下で、海軍水路部位観象台のあった麻布飯倉町に本拠地を移し、天象観測と暦書調整、報時事業を行う機関となります。

 その後、1909年、東京府北多摩群三鷹村(現・東京都三鷹市大沢)への移転が決定され、1924年9月に三鷹での活動を開始しました。この間、1921年には東京帝国大学理学部から分離して東京帝国大学附属天文台となり、以来、ながらく“東京天文台”の愛称で親しまれていましたが、1988年、大学共同利用機関として文部省(当時)直轄の国立天文台(三鷹キャンパス)となっています。

 今回ご紹介の切手は、1878年の観象台設置から起算して100周年になるのを記念して発行されたもので、東京・三鷹の施設ではなく、東京天文台付属岡山天体物理観測所の188センチ反射望遠鏡とオリオン座を描いています。

 この望遠鏡はグラブ・パーソンズ製で、主鏡が左下に、副鏡が筒先にあり、いったん主鏡で空の方角に反射された光を副鏡で下の方に送る構造です。切手の両側にはドームの内壁が見えていますが、ここには、60センチクーデ型大洋望遠鏡があり、大型分光器や磁場測定装置で太陽の詳しい研究が行われています。

 ドームから見える冬空を描いた寒色系の切手の中は、ポツンとひとつ、平家星が赤く揺れているのが良いアクセントになっていて、結果的に、「つながった冬の星座 この空に消えてかない様に 見つめていたんだよ」という『ORION』の歌詞にもマッチした1枚になっているのではないかと思っています。
 
 
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