内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ボクシング・デー
2015-12-26 Sat 10:55
 きょう(26日)は“ボクシング・デー”です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       英国・ロイヤルメール350年(冬)

 これは、1985年に英国で発行された“ロイヤル・メール350年”の記念切手のうち、雪中で小包を配達するポストマンが描かれています。切手に描かれた建物の1階をよく見てみると、窓の中にはクリスマス・ツリーらしきものも見えますから、あるいは、クリスマスのプレゼントを配達している場面かもしれません。

 英国をはじめ英連邦諸国で休日となっているボクシング・デー(クリスマス翌日:12月26日)は、元々、教会が貧しい人たちのために寄付を募ったクリスマス・プレゼントの箱(box)を開ける日であったことがその名の由来です。その後、クリスマスも仕事をしなければならなかった使用人たちに、翌日、家族と過ごさせるための休日となり、クリスマスにクリスマス・カードやプレゼントを届けてくれたポストマンに箱入りのプレゼント(Christmas box)をする習慣があります。この切手に描かれているポストマンも、きっと、プレゼントをもらったことでしょう。

 さて、今回ご紹介の“ロイヤル・メール350年”の記念切手は、1635年7月、王室駅逓を民間にも開放するとの布告が出されたことから起算して発行されました。なお、ロイヤル・メールの起源については、ヘンリー8世の時代の1516年に郵政長官(Master of the Posts)のポストが設けられたことに求める考え方もあります。

 1635年、トマス・ウィザリングスは国王チャールズ1世の諮問会議に「ロンドンと陛下の領地全域を結ぶ小包郵便を創設し、臣民の手紙もあわせて運ぶこと」を提案。当時、財政の悪化に悩んでいた国王は、これを増収策のひとつとして“使える”と判断。ロンドンに公衆書簡局を設置することが決められました。

 チャールズ1世の布告は1635年7月31日付で発せられ、駅逓便の収入を国費(戦費を含む)に使用すること、スコットランドの首都であるエディンバラとロンドンの間を6日以内に往復できるよう、駅逓制度を整えることなどが盛り込まれていました。

 この布告を受けて、1635年10月、ロンドンのビショップスゲイト・ストリートに最初の郵便局が設置されるとともに、ウィザリングスは、駅逓制度を整備するために必要な6街道(そのひとつがロンドンとブリストル近郊のエイヴォンマスを結ぶグレイト・ウェスト・ロードです)を建設するよう命じています。ちなみに、最初の郵便局が置かれたビショップスゲイト・ストリートは、ロンドンの中心部、シティの北東に位置しています。すでにローマ時代には道があったといわれていますが、この時代の通りは、1471年にハンザ同盟加盟の商人が再興したもので、ロンドンの城壁にもともとあった八大門のひとつが名前の由来となりました。18世紀の頃までは、この門の前で、しばしば、処刑された罪人が晒し者にされています。

 当時の主要な街道には、日中もしくは一晩で移動できる距離ごとに1もしくは2か所の郵便局が設けられており、郵便料金は距離と用紙の枚数、重量などに応じて定額制で、受取人が支払うことになっていました。

 いずれにせよ、近代郵便制度の要件の一つとして、「地位・身分によらず、所定の料金を支払うなど一定の手続きを経れば、だれでも利用することができる」ということを挙げるのなら、1635年の布告により、王室駅逓が民間の郵便物も取り扱うようになったことは、英国における近代郵便制度の原点と見なすことができるわけです。

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