内藤陽介 Yosuke NAITO
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 アウシュヴィッツの年賀状
2016-01-02 Sat 08:39
 昨日は元日でしたから、年頭のご挨拶のみで失礼いたしました。切手や郵便物などを毎日紹介していくという、このブログの実質的な記事のアップとしては、きょうが2016年最初となりますので、新年にちなみ、ちょっと変わった年賀状(?)をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      アウシュヴィッツ・年始  アウシュヴィッツ・年始(手紙)

 これは、1944年の元日、アウシュヴィッツの収容者がチェシン宛に差し出した“年賀状(新年を寿ぐ記述があるので、そう呼んでも良いでしょう)”とその文面です。手紙としての日付は元日ですが、所内での検閲などを経てから郵便局に持ち込まれているため、収容所関連の郵便物であることを示す“AUSCHWITZ 2”の消印は1月8日付になっています。

 使用されている用紙は、収容所から収容者に対して支給されたモノのうち、宛名面に印刷されている注意書が7ヶ条のタイプのものです。1944年春ごろから、注意書が6ヶ条のタイプのものが使用され始めるので、7ヶ条のタイプのものとしては比較的後期の使用例となります。

 さて、手紙の文面は、以下のような内容になっています。

 今日は新年です。全ての考え、夢は貴方と一緒です。私が感じていることを、面と向かって話せたら良いのですが、夢を見たり考えることしかできません。それ以外なにができるというのでしょう。私たちに残るのは、信仰することだけです。この新年、私たちは信仰心をもっと強めると信じます。神様は健康と未来を与えてくれます。 クリスマスはどこでどう過ごしましたか。私たちの愛する両親は元気ですか。親戚たちにもよろしく。私はクリスマスを元気に過ごしましたが、少し泣けてきました、というのも、もう4年になるからです。みんな元気でいてください。 no.9の小包と手紙を受け取りました。蜂蜜と、XX(判読不能)も。 心からの挨拶を

 この文面によると、差出人は収容所生活が4年の長きにわたっている、すなわち、アウシュヴィッツに収容所が建設された1940年当初からの古参の収容者ということになります。1940年の時点では、アウシュヴィッツの収容者は、原則としてポーランド系でしたので、クリスマスについての記述(ユダヤ教徒は基本的にクリスマスを祝いません)とあわせて、収容者はポーランド系のカトリックだろうと思います。いずれにせよ、文面から、差出人は信仰を強く持つことで過酷な環境を耐え続けていたことがよくわかります。

 さて、拙著『アウシュヴィッツの手紙』では、今回ご紹介の郵便物をはじめ、アウシュヴィッツの収容者が差し出したさまざまな郵便物から、収容所内の人々のリアルな状況を考察しております。機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。
 

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この記事のコメント
#2408 おめでとうございます。
1944年1月8日の鮮明印ルックス最高です。
隠居も欲しいです。(*^^*)
2016-01-02 Sat 16:24 | URL | 渡辺 達夫 #QSVbZ7ek[ 内容変更] | ∧top | under∨
・渡辺達夫様

 消印は鮮明というには、ちょっと弱いですね。コンディションの追求はキリがないと言えばそれまでですが。
2016-01-10 Sun 21:24 | URL |  内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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