内藤陽介 Yosuke NAITO
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 アタリの番号は69と90
2016-01-18 Mon 11:11
 “平成28年お年玉付年賀はがき”の抽選会が、きのう(17日)、東京・東京丸の内のJPタワーで行われ、年賀小型シートの当選番号は69と90に決まりました。というわけで、例年どおり、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      年賀小型シート(2016)

 これは、きょう(18日)から引換が始まった今年(2016年)の年賀小型シートです。かつて成人の日が1月15日に固定されていた時代には、年賀はがきの抽選が成人式と並ぶ1月15日の風物詩となっていたわけですが、いわゆるハッピーマンデーの導入により、成人の日が1月の第2月曜日となったことで、その前提が大きく変わってしまい、抽選日も近年は1月後半の日曜日ということで毎年変わっています

 さて、今年の年賀切手のうち、小型シートに収められているのは、52円切手が大津絵十二支土鈴の“申”、82円切手が土佐和紙漆喰張り子“こだき申”です。

 大津絵は、滋賀県大津市で江戸時代初期から制作されていた民俗絵画で、東海道大津宿の名物として、東海道を旅する旅人たちの間の土産物・護符とされてきました。神仏や人物、動物をユーモラスなタッチで描き、風刺や教訓を詠んだ道歌を添えるスタイルとなっており、文化・文政期(1804- 1829年)には“大津絵十種”と呼ばれる代表的画題が確定。現在では、百余種の画題が作られています。また、大津絵の画題は、元唄・音曲・俗曲(大津絵節)、大津絵節にあわせて踊る大津絵踊りなど、他の民芸と結びつくことも多く、今回ご紹介の切手に取り上げられている大津絵十二支土鈴もそのひとつです。

 大津絵十二支土鈴は、大津絵の中から、十二支を取り上げているものを題材として、高田工芸(守山市)の髙田進が制作しているた郷土玩具です。高田は、京都の人形店勤めを経て、1971年に独立して栗東市で工房を開設。大津絵にこだわって独学で土人形作りを始めました。干支の政策は約40年前からで、大津絵師の4代目高橋松山の原画を基に十二支すべてをそろえた作品群は、1984年に日本観光協会長賞を受賞しています。1991年には工房を守山市に移転。現在は、高田が粘土で原型の人形を作ったものを職人が手分けして色付けや焼成などを行い、その作品は神社などで販売されています。

 切手に取り上げられた作品は、提灯と釣鐘を前後に吊るした天秤棒を担ぐサルの土鈴で、軽いはずの提灯が下がり、重い釣鐘が上がっているさまは、重んずべきものを軽んじ、道理が転倒している世の中を風刺する意図が込められているそうです。なお、滋賀県の郷土玩具・民芸品が年賀切手の題材となったのは、1984年および1992年の小幡人形(東近江市)以来、3例目です。

 一方、82円切手の題材となった土佐和紙漆喰張子は、越前和紙・美濃紙と並んで日本三大和紙のひとつとされる土佐和紙の中でも最高級の雁皮紙が使われており、張り子の中には、おめでたいといわれる無患子の実が入っています。

 今回の切手に取り上げられた“こだき申”は、高知出身の女流画家で郷土玩具も制作していた山本香泉(初代)が制作していた香泉人形の流れをくむ土人形です。初代香泉は1963年に72歳で亡くなり、長女が2代目を襲名。弟とともに香泉人形の制作をつづけましたが、彼女も亡くなり、1993年を最後に制作が途絶えていました。その後、土佐民芸社に譲られた型を用いて、2002年以降、草流舎の田村多美が雁皮紙や楮紙を用いた“土佐和紙”の張子として再現した作品の一つが、今回の切手に取り上げられた“こだき申”ということになります。

  ちなみに、田村の作品は、2012年の年賀切手にも土佐和紙雁皮張子の“龍”が取り上げられていますが、今回の切手の題材は“土佐和紙張子”となっており、雁皮の文字が抜けています。あるいは、今回の“こだき申”は、材料として、雁皮紙のみならず楮紙なども用いられているということなのかもしれません。

 なお、お年玉の小型シートの歴史や、年賀切手と切手に取り上げられた郷土玩具については、拙著『年賀状の戦後史』でも詳しくご説明しておりますので、この機会に、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。

 * 僕宛の今年の賀状の中では、荒木敏正・まゆみさん、一般社団法人・日本著作権教育研究会から頂戴した2通がアタリでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。

 ** 昨晩、アクセスカウンターが161万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。


 ★★★ 展示イベントのご案内 ★★★

 第7回テーマティク出品者の会切手展 1月17-20日(日ー水。ただし、18日は休館)
 於・切手の博物館(東京・目白)

 テーマティク出品者の会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。僕も、昨年の香港展に出品した香港の歴史のコレクションを展示します。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください)

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 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

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 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

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