内藤陽介 Yosuke NAITO
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 49歳になりました。
2016-01-22 Fri 10:16
 私事ながら、本日(22日)をもって49歳になりました。「だからどうした」といわれればそれまでなのですが、せっかく年に1度のことですから、現時点で僕の手元にある“1月22日”関連のマテリアルのうち、最も年代の古いものをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ビショップ印カバー(1685)  ビショップ印カバー(日附部分)

 これは、1685年1月22日、イングランドのヘイスティングスからロンドンのブルームスバリー宛の郵便物です。差し出しの日付は内部の書き込み(右側の画像)によるもので、郵便史的には、到着時に押された1月25日付のビショップ印の方が重要なのですが、いずれ、1月22日付のビショップ印のカバーを入手できたらご紹介することにしたいと思います。ちなみに、宛先のブルームスバリー地区は、ビーフィーターをはじめとするロンドン・ドライ・ジンの発祥の地というのも、ジントニックが好きな僕としては嬉しいところです。

 英国での王政復古に伴い、1660年、クロムウェル時代の郵便長官だったジョン・サーローは解任され、ヘンリー・ビショップが年間2万1500ポンド、7年契約で郵便事業を請け負い、新長官に就任しました。ちなみに、当初、ビショップの任期は1660年6月25日からの予定でしたが、議会での郵便憲章の討議が遅れたため実際の任命は9月29日までずれ込んでいます。この間、制度の間隙を突くかたちで、一部の民間業者が郵便物を取り扱っていたことから、ビショップは、3ヵ月任命が遅れたことで500ポンド以上の損失が生じたと主張しています。

 郵便の官業独占を犯して民間業者が活動をしていた背景には、利用者側からすれば、官営郵便は値段の割に配達・輸送が遅いとの不満が根強くありました。じっさい、郵便長官に就任早々、ビショップは利用者から郵便の遅れについて多数のクレームを受けることになります。

 このため、ビショップは、さまざまな改善策を打ち出しました。

 たとえば、郵便の輸送手段を充実させるため、中継地点の郵便局に常駐させておく駅馬の拡充、郵便局間の距離を示す郵便地図の作成(実際に第1版の地図が完成したのは、ビショップ離職後の1669年のことでしたが)、宛先方面ごとの郵袋の活用、などです。

 しかし、彼が打ち出した改善策のうち、郵便史上、最も画期的だったのが、“ビショップ・マーク”と呼ばれる日付印を導入でした。

 ビショップ・マークは円形で、その中央から2分割して、アルファベット2文字の月の略称と日付を上下に配した構造になっています。ビショップは、郵便局に持ち込まれたすべての郵便物に、この日付印を押すことを義務付けました。押印場所は、原則として裏面です。

 日付印が押された後、郵便物は同じ場所に30分以上留め置いてはならず、4-9月は時速7マイル(約11・2キロ)、10―3月は時速5マイル(約8キロ)で次の拠点まで運ぶこととされ、その遵守が各地の郵便局長に徹底されました。

 日付印の導入により、担当者の怠慢で郵便物が郵便局に滞留した場合にはそのことが明らかになります。逆に、郵便はきちんと機能していたにもかかわらず、差出人が郵便を差し出しそびれていたり、使用人が受け取った手紙を主人に渡すのを忘れていたりするなど、利用者側に原因があるケースも、日付印を確認すれば確認することができます。

 ビショップ・マークは、1661年4月19日、ロンドンの中央郵便局使用されたのが最初で、順次、ダブリン、エディンバラ等の主要都市で使用されたほか、ニューヨークをはじめとする北米植民地やインドの郵便局でも使用されました。

 当初、ビショップ・マークの大きさは直径13ミリでしたが、1673年になると、直径13-14ミリと若干大きくなります。この時期の消印の表示は、今回ご紹介の郵便物のように、原則として、上段が月名、下段が日附となっていました。なお、当時の慣例で、日付印の表示ではJの代わりにI の文字が使われているため、このカバーにみられる“IA”とある月名の表示は、1月(January)の略号であるJA の意味になります。

 その後、1713年になって、日付印の大きさは14-20ミリとさらに大型になり、月名と日附の上下も逆転しますが、この形式のものは、1787年まで使用されました。

 なお、 昨年11月に刊行の拙著『英国郵便史 ペニー・ブラック物語』では、ビショップ印の歴史やビショップ印が押された郵便物などもいろいろご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。


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この記事のコメント
#2413
お誕生日おめでとうございます。
英国郵便史は、星名氏が、郵政関係紙に掲載されてから、興味を持っており、また、
英国が、世界で一番最初に郵便切手を発行したこともあり、関心を外国文献類を集め
読んでおりました。とかく切手のない郵便物は、スタンプレスと言って、昔はどうしても切手収集の隅に置かれがちです。その点、内藤先生は、深く研究されて尊敬いたします。今後も郵便趣味の世界で、情報の発信と文献の著作を熱望いたします。

2016-01-22 Fri 12:49 | URL | 渡辺 達夫 #QSVbZ7ek[ 内容変更] | ∧top | under∨
・渡辺 達夫 様
 スタンプレスは地味ですが、歴史的な時間の長さという点では、スタンプレス時代の方が圧倒的に長いですからね。欧米のプレスタンプ時代のカバーは綺麗なものも多いので、日本でももっと注目されていいと思います。僕も、何か面白いネタを探して、五日まとめてみたいと思っています。
2016-01-31 Sun 15:49 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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