内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手に見るソウルと韓国:申年の年賀状と切手
2016-01-24 Sun 10:40
 『東洋経済日報』1月22日号が発行されました。僕の月一連載「切手に見るソウルと韓国」は、今回は、2016年最初の掲載ということで、こんなモノをご紹介しました。(画像はクリックで拡大されます)

      韓国・年賀(2016)

 これは、昨年(2015年)12月1日に韓国で発行された2016年用の年賀用切手つき封筒に年賀切手を貼り、年賀用の消印を押した郵便物の一部です。ソウル在住の友人、坂﨑基彦さんからお送りいただきました。坂﨑さん、ありがとうございます。

 さて、封筒の印面は、モミの木を背景に雪の結晶を掲げるサルが、切手にはセーターを着て木の枝に毛糸の靴下を吊るすサルが、それぞれ描かれています。韓国で正月といえば、1月1日ではなく、基本的には旧正月のソルラルですし、日本と比べてクリスチャンの人口比も桁違いに多いから、前年末に発行する“年賀切手”が、クリスマス・カードを送る場合にも兼用できるようなデザインになっているのも自然なことと言えましょう。

 なお、今回ご紹介の年賀切手には額面数字が入っておらず、“永遠郵票/国内規格25g”を意味するハングルが入っています。これは、この切手が、今後、料金の値上げがあっても、未来永劫、25gまでの国内宛定型書状料金用として使うことができるというものです。

 雪中のサルというと、日本では、温泉につかっているニホンザルを連想する人が多いでしょうが、おそらく、韓国人にはそういう発想はないのではないかと思います。

 意外に思われるかもしれませんが、現在のニホンザルの祖先は、30-50万年前の氷河期に朝鮮半島経由で日本列島に渡ってきたと考えられているにもかかわらず、現在の朝鮮半島には野生の猿は棲息していません。

 サル目の動物は、そのほとんどが熱帯に棲息しており、青森県の下北半島に住むニホンザルは“北限のサル”として有名ですが、単純に緯度の比較でいうと、下北半島は平壌よりもさらに北に位置しています。したがって、北緯38度線以南の韓国領内にサルが棲息していても不思議はなさそうなのですが、そうなっていないのは、植物相の違いが大きな要因とされています。

 もともと、サルは果実や柔らかい葉を主食としているため、降水量の多い地域(そうした地域の植物は水分を多く含んでいるため、柔らかい)が棲息地として適しています。この点、ニホンザルの生息域は、気温こそ低いものの、温帯としては珍しく、大量の降雪があるため湿度が高く、冬の間でも柔らかい土壌を掘り起こして草の根を餌とすることができるから、厳しい寒さの中でも生き続けることができました。

 これに対して、朝鮮半島は日本に比べるとはるかに乾燥していることに加え、朝鮮王朝時代に森林伐採が進んだこともあって、サルが棲息するには適さない環境でした。

 日本には野生のサルがいるのに、韓国にはいないのは、こうした理由によるのだそうです。

 当然のことながら、近代以前の朝鮮半島では、野生のサルを目にする機会がほとんどなかった以上、朝鮮半島の文化的な伝統においては、サルはあまりなじみのない動物です。たとえば、日本では、桃太郎や猿蟹合戦など、サルが登場する物語が珍しくありませんが、韓国の民話にサルが登場する例はほとんどないのは、そうした両国の差異を反映したものと考えてよいでしょう。

 切手に関しても事情は同じで、韓国の切手では、今回ご紹介したような年賀切手が12年に1度、申年に合わせて発行される以外には、サルを描く切手というのはほとんどありません。

 ちなみに、今回の年賀切手を発行するにあたって、韓国郵政が発表した報道資料によると、サルはスマートで敏捷な動物であるというイメージから、かつての韓国では、申年生まれの人は、①知性にあふれ、多才、②楽天的で活動的、③個人よりも集団を重視する傾向がある、とみられていたのだとか。

 そのうえで報道資料は、“ポジティヴなエネルギーと幸運を運んでくれる”サルの切手を貼って、年賀状を出してみてはどうかとの宣伝文句で結んでいます。


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