内藤陽介 Yosuke NAITO
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 両陛下、フィリピンご訪問
2016-01-26 Tue 22:39
 日本とフィリピンの国交正常化60周年にあたり、天皇皇后両陛下が、きょう(26日)からフィリピンをご訪問なさっています。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      フィリピン・モンテンルパ監獄カバー

 これは、1952年1月、いわゆるB級戦犯としてフィリピン・モンテンルパのニュービリビット監獄に収監されていた横山静雄中将が差し出したカバーです。

 横山元中将は、1890年、福岡県生まれ。1912年5月、陸軍士官学校(24期)を卒業し、日中戦争では歩兵第2連隊長として出征。1942年6月、第8師団長に親補され、満洲の鶏寧県に駐屯していましたが、1944年12月、戦局の悪化に伴いフィリピンに派遣され、第41軍司令官として山岳地帯に籠り、持久戦を展開しながら終戦を迎えました。

 終戦後は、軍司令官という立場から戦犯容疑に問われ、1949年5月、銃殺刑の判決を受けています。なお、1946年7月4日、フィリピンが独立したことを受けて、1947年6月、フィリピンでの戦犯(容疑者)の身柄はフィリピン政府に移管されており、元中将もフィリピン政府によって収監されていました。

 元中将が銃殺刑の判決を受けたころ、フィリピンでは戦犯の処刑は一時休止されていたため、そのまま詩形から減刑されることを期待していた人たちも少なくありませんでした。ところが、1951年1月、突如、14名が絞首刑を執行され、“戦犯”たちは再び暗澹たる思いにとらわれるようになります。

 1952年4月28日、対日講和条約が発効し、フィリピンと日本の間で国交の樹立と賠償問題が政治日程に上るようになりましたが、“戦犯”たちの釈放のめどは立ちませんでした。こうした状況の中で、ニュービリビット監獄で教誨師を務めていた加賀尾秀忍は、死刑判決を受けて収監されていた代田銀太郎と伊藤正康の二人に歌を作ることを勧めました。こうして作られたのが、「あゝモンテンルパの夜は更けて」で、当時の人気歌手、渡辺はま子が歌って大ヒット曲となりました。

 今回ご紹介のカバーはこの時代のモノで、監獄の検閲を受けた後、そのことを示す円形の紫印が押されています。検閲印は色が薄くて読みにくいのですが、“BUREAU OF PRISON/ CENSORED/ MAILING CLERK”の文字があり、その上に担当者のサインがあります。

 ニュービリビット監獄での検閲を受けた後、元中将の手紙は新聞記者もしくは外務省の担当者に託されて日本国内に持ち込まれ、東京・市ヶ谷の引揚援護庁復員局に引き渡された後、“法務調査課 植木信吉”の名義で日本国内の名宛人に郵送されました。日本国内の郵便料金は復員局の負担です。

 この手紙が差し出されてから1年半後の1953年7月4日、フィリピン政府は収監中の日本人戦犯死刑囚全員を終身刑に減刑。これを受けて、同年12月、元中将も特赦によって帰国しています。

 ちなみに、「日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定」が調印され、日本とフィリピンの戦争状態が正式に終結したのは、1956年5月9日のことで、今年はここから起算して60周年ということになります。


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