内藤陽介 Yosuke NAITO
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 リサール記念碑
2016-01-28 Thu 11:51
 フィリピンご訪問中の天皇・皇后両陛下は、きのう(27日)、マニラ市内のリサール記念碑と無名戦士の墓を訪れ、供花されました。というわけで、リサール記念碑が描かれた切手の中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      フィリピン独立・1943年(17セント)

 これは、第二次大戦中の1943年10月1日、日本軍占領下でのフィリピン第2共和国の“独立”記念切手で、フィリピンの女性を中心に、リサール記念碑とフィリピン国旗が描かれています。

 ホセ・リサールは、スペイン統治時代のフィリピンで活動した独立運動の闘士でしたが、1896年、志半ばにして捕らえられ、銃殺されました。しかし、彼の遺志は人々に受け継がれ、現在でもフィリピン独立の英雄として尊敬を集めている人物です。

 リサールが処刑された翌年の1897年、フィリピンでは独立派によりフィリピン共和国(ビアクナバト共和国)の独立が宣言されます。ビアナバクト共和国は半年ほどで事実上崩壊しましたが、1898年には米西戦争が勃発。米国は独立派の支援を名目にフィリピンに出兵し、最終的に、フィリピンを併合して“友愛的同化”をスローガンとする植民地支配をスタートさせました。

 当然のことながら、スペインがいなくなれば独立できると思っていたフィリピン人は米国に抵抗し、米比戦争が勃発。こうした中で、フィリピン・ゲリラの討伐とあわせて、フィリピン人に対する懐柔策を取る必要から、1901年9月28日、米国のフィリピン群島政府は第243号法令を発し、マニラ市内に“スペインと戦った独立の志士 ホセ・リサール”の顕彰施設を建設するために公有地を提供することが決定され、その具体的な作業のために委員会が組織され、市民からの募金活動が開始されました。

 顕彰施設の核となる記念碑については、1905年から1907年にかけて、欧米の彫刻家を招いてのコンペが行われ、1908年1月8日、イタリアの彫刻家カルロス・ニコリのプランが1等に選ばれ、ニコリは賞金500万ペソを獲得しました。しかし、ニコリのプランは本体だけで高さ18m、台座を含めると30mの巨大なもので、実際の塩蔵は予算上の制約から不可能とされ、実際の記念碑には2等となったスイスの彫刻家、リチャード・キスリングのプランが採用されることになりました。

 最終的に記念碑が完成し、除幕式が行われたのは、リサールの命日にあたる1930年12月30日のことで、今回ご紹介の切手にみられるように、当時は背後に国旗掲揚のための支柱はありませんでした。

 ちなみに、リサールは、白人(スペイン人)の支配に抵抗して処刑された独立の志士というだけでなく、一時期、日本に滞在し、日本人女性の臼井勢似子と恋愛関係にあるなど、日本とも因縁浅から存在でした。このため、“日本を盟主とする大東亜共栄圏の建設”という大義名分でフィリピンを占領した日本軍にとっては、リサールは非常に使い勝手の良いシンボルだったわけで、当時、リサールには日本人の血が流れているとの噂(事実関係を言うと、リサールの家系は中国系とフィリピン人の混血)がまことしやかにささやかれていました。

 その後、リサールの生誕100年にあたる1961年には、記念碑本体の背後に、国旗掲揚のための金属の支柱が建てられ、現在の景観となりました。皇太子・同妃時代の両陛下がフィリピンをご訪問され、リサール記念碑に供花されたのは、その翌年の1962年のことです。

 この記事を書いていて気付いたのですが、今年(2016年)は、日本とフィリピンの国交60年というだけでなく、リサール生誕120年でもあるんですねぇ。これを機に、なにかフィリピンがらみの書籍が作れないかなぁ。ご興味をお持ちの編集者の方、ご連絡をお待ちしております。


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