内藤陽介 Yosuke NAITO
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 鞆の浦景観訴訟終結
2016-02-15 Mon 15:58
 広島県福山市の景勝地、鞆の浦の埋め立てと架橋建設計画をめぐる訴訟の控訴審口頭弁論が、きょう(15日)、広島高裁で行われ、反対派住民らが訴えを取り下げました。すでに、架橋計画の撤回を表明していた広島県も、これを受けて、免許申請を取り下げる見通しで、鞆の浦の埋め立て計画は正式に中止となりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      鞆の浦

 これは、1939年4月20日に発行された「大山・瀬戸内海国立公園」の切手のうち、鞆の浦を取り上げた20銭切手です。

 大山国立公園と瀬戸内国立公園は、もともとは全く別の国立公園ですが、1936年2月1日に指定された大山国立公園は大山を中心に地域が限られたものであったため、単独で4種類のセットとして発行することが難しかったため、近隣の瀬戸内国立公園との組み合わせで4種セット(うち、大山国立公園は1種のみ)で発行されました。

 瀬戸内国立公園は、1934年3月16日、雲仙国立公園(現・雲仙天草国立公園)、霧島国立公園(現・霧島錦江湾国立公園)とともに、日本初の国立公園として指定されました。当初の区域は、小豆島の寒霞渓、香川県の屋島、岡山県の鷲羽山、広島県の鞆の浦・沼隈町周辺の備讃瀬戸を中心とした一帯に限られていましたが、その後、区域が拡張され、現在の区域は和歌山市から北九州市にまで及ぶ広大なものとなっています。

 切手に取り上げられた鞆の浦は、瀬戸内海のほぼ中央に位置し、平安時代から港町があったとされています。瀬戸内海の海流は、ほぼ中央に位置する鞆の浦沖を境に東西に干潮時と満潮時で潮流が逆転するため、かつて、瀬戸内海を横断しようとする人は鞆の浦で潮流が変わるのを待たなければなりませんでした。このため、鞆の浦は“潮待ちの港”として古くから知られ、万葉集にも「海人小船帆かも張れると見るまでに鞆の浦回に浪立てり見ゆ」の歌が収められているほか、円形の港湾を含む歴史的建築物が数多く残されています。今回ご紹介の切手は、1938年11月9日の午後、逓信省のスタッフであった鈴木登良吉が、鞆町から仙酔島を望む風景を撮影した写真が原画となっています。
 
 さて、広島県は1983年、交通混雑の解消などを目的に、江戸期の港湾施設の常夜灯などが残る“鞆港”の浜を約2ヘクタール埋め立て、港内を横断する長さ約180メートルの橋を架けるとともに、駐車場やフェリーの埠頭を造るとの計画を策定。これに対して、2007年、住民らが「景観が大きく損なわれる」として提訴し、2009年には一審・広島地裁が「鞆の浦の景観は住民の利益だけではなく、瀬戸内海の美観を構成し、文化的・歴史的価値を持つ『国民の財産というべき公益』」として、埋め立て免許を交付しないよう広島県知事に命じる住民側勝訴の判決を下しました。

 これに対して、判決後に就任した湯崎英彦知事は、2012年6月に計画の撤回を表明したものの、こんどは、福山市や推進派の住民からは反発の声が上がり、免許の申請は取り下げられないまま、控訴審の広島高裁は2015年5月、住民側の訴えと県側の免許申請を双方同時に取り下げることによる訴訟の終結案を提案。今回、計画の正式な中止になったというわけです。

 
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