内藤陽介 Yosuke NAITO
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 破門されても平気
2016-02-19 Fri 15:26
 ローマ教皇フランシスコは、きのう(18日)、キューバ、メキシコ歴訪の帰路の特別機中で記者団の質問に答え、メキシコとの国境沿いに2500キロの壁を建設し、1100万人の不法移民を国外追放したいと表明した米国のドナルド・トランプ氏について、「どこにであれ、壁を作ることだけを考え、橋を作ろうとしない人物はキリスト教徒ではない」「そのようなことを言ったのであれば、その男性はキリスト教徒ではない」と応じました。世が世なら破門、ということでしょうな。というわけで、きょうはこんな切手を持ってきました、(画像はクリックで拡大されます)

      フランス・フィリップ4世

 これは、1968年にフランスが発行した歴史シリーズの1枚で、国王フィリップ4世による三部会召集が取り上げられています。

 1285年、病没した父フィリップ3世の後を継いで即位したフィリップ4世は、1294-99年のギュイエンヌ(アキテーヌ)の戦いでイングランド王エドワード1世と戦ったほか、1297年以降はフランドルにも勢力を伸ばそうとし、1302年の金拍車の戦い、1305年以降のモン=アン=ペヴェルの戦いなど、数多くの戦争を行いました。このため、膨大な戦費を調達すべく、フィリップ4世はフランスで初めて全国的課税を実施し、キリスト教会にも課税しましたが、この結果、教皇至上主義を掲げるローマ教皇ボニファティウス8世との激しく対立しました。

 その過程で、1302年、ボニファティウス8世が教皇回勅を発し、教皇の権威は他のあらゆる地上の権力に優越するとしてフィリップ4世に対し教皇の命に従うよう促したのに対して、フィリップ4世は国内の支持を得るために、聖職者・貴族・市民の3身分からなる議会の“三部会”をパリのノートルダム大聖堂に設け、国内の世論を背景として教皇に抵抗します。今回ご紹介の切手は、この場面を取り上げたものです。

 これに対して、ボニファティウス8世がフィリップ4世を破門すると、フィリップ4世も悪徳教皇弾劾の公会議を開くよう求めて、両者は決裂。1303年、フィリップ4世は、腹心のギヨーム・ド・ノガレに命じて、教皇を捕縛すべく、ローマ市南東方の教皇離宮所在地のアナーニを襲撃させます。ノガレらは教皇御座所に侵入し、ボニファティウス8世を“異端者”と面罵して暴行を加え、退位を迫りました。その後、ボニファティウス8世はナポリ王とシチリア王によって湧出され、捕縛こそのがれたものの、ローマで憤死。これを受けて、1305年、フィリップ4世は次の教皇にフランス出身のクレメンス5世を擁立し、1309年、ローマ教皇庁はフランス南東部のアヴィニョンに遷され、フランスの影響下に置かれることになりました。結果的に、、フィリップ4世は教皇から破門されてもなんともなかったどころか、フィリップ4世を破門した教皇ボニファティウス8世の方こそ返り討ちに遭って散々な思いをしたというわけですな。

 まぁ、何かとお騒がせのトランプ氏の場合、宗教的にはプロテスタントの長老派だそうですから、そもそも、教皇としても破門のしようがないと言ってしまえばそれまでですが、今回の一件に関しても、「宗教指導者が個人の信仰を疑問視するのはみっともない」、「(バチカンが過激派組織イスラム国ことダーイシュに攻撃されるようなことがあれば)トランプが大統領だったらこんなことは起こらなかったのにと、教皇が願い、祈ることになると断言できる」などと言いたい放題のトランプ氏を見ていると、いい加減、誰でも良いから、彼にお灸をすえてくれる人物が出てきてくれないものかと、切に願うのは僕だけではないでしょうな。


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