内藤陽介 Yosuke NAITO
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 うるう日
2016-02-29 Mon 10:54
 きょう(29日)は4年に1度の“うるう日”です。というわけで、4年前同様、手持ちの“うるう日”カバーのうち、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      済州宛・検閲便  済州宛・検閲便(裏)

 これは、占領下の1952年2月29日、東京から韓国・済州宛に差し出されたカバーで、国会内局の2月29日の消印が押されています。裏面には中継地・釜山の3月6日付の欧文印とムクゲ型の検閲印が押されており、表面には3月10日受取の書き込みがあります。通常であれば、東京=済州間の郵便物は1週間もあれば届くのでしょうが、このカバーの場合、10日以上の日数がかかっているのは、朝鮮戦争の最中であったことに加え、宛先地の済州道島内では左翼ゲリラに対する掃討戦が展開されている時期であり、そうした事情が反映されているのかもしれません。

 済州島は朝鮮王朝時代に政治犯の流刑地であったことから、日本時代を経て米軍政下でも、朝鮮本土では済州出身者に対する差別が色濃く残っていました。

 こうした背景の下、1947年3月1日、3・1独立運動28周年の記念式典の後のデモに対して米軍政庁の警官隊が発砲して6名が死亡すると、3月10日から島内では抗議のゼネストが行われました。これを“アカの蠢動”とみなした軍政庁と李承晩ら本土の保守派はゼネストを武力で粉砕。彼らに対する島民の不満を背景に、1948年4月3日、左翼勢力の南朝鮮労働党済州島委員会は警察支署や右派人士に対する一斉襲撃を開始しました。いわゆる済州島四・三事件です。

 事件は一般島民や本土から派遣された警官隊の家族らも巻き込んでエスカレートし、次第に、当時の南北朝鮮での左右対立の最大の争点であった5月10日の単独選挙阻止を主張するものへと変質していきます。結局、蜂起の指導部は、朝鮮国防警備隊(後の韓国軍)や警察、西北青年団(北朝鮮から南朝鮮へ逃れてきた反共・右翼青年の組織)などの治安部隊によって短期間で鎮圧されましたが、残存勢力は1957年まで山間部でゲリラ戦を展開して抵抗。最終的に、8万名の島民が犠牲になったといわれています。

 また、済州島での混乱と殺戮を逃れて、この時期、多くの密航者が日本に渡ってきたことも忘れてはなりません。ちなみに、1955年8月18日付の『朝日新聞』には、警視庁公安3課の調査結果として、推定65万人の在日朝鮮人のうち、密入国者は10万人を超えるとみられているとの記事も掲載されました。

 なお、このあたりの事情については、拙著『朝鮮戦争』でもいろいろご説明しておりますので、 機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。
 

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