内藤陽介 Yosuke NAITO
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 女性収容所からの葉書
2016-03-08 Tue 09:17
 きょう(8日)は国際女性デーです。というわけで、例年どおり、拙著の中から女性ネタということで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      アウシュヴィッツ・女性収容所

 これは、ビルケナウの女性収容所から差し出された葉書で、タイプ3と呼ばれるフォーマットが使用されています。タイプ3は、収容所の銘が“F.K.L.Auschwitz”となっていますが、この“F.K.L.”は、女性収容所を意味する“Frauen Konzentrationslager”の略号です。

 第二次大戦が始まった時点で、ドイツの強制収容所のうち、主として女性収容者を拘束していたのは、ベルリンの北方約80キロ、メクレンブルク州のラーフェンスブリュック収容所でした。

 同収容所は、1938年末からザクセンハウゼン収容所の収容者を動員して建設が開始され、1939年5月13日、最初の収容者としてドイツ人女性860人、オーストリア人女性7人が移送されてきました。その後、9月の開戦を経て、同年末の時点で収容者数は1168人となりましたが、さらに戦線が拡大していったことで収容者の数も増加の一途をたどり、最終的には、総計23ヵ国12万3000人の女性がラーフェンスブリュック収容所に登録されました。

 このように、ラーフェンスブリュック収容所のキャパシティが限界に迫っていったことに加え、戦時下での労働力不足が深刻になっていたという状況もあり、当初は、“労働力にならない”として無条件に抹殺の対象となっていたユダヤ人女性に対しても、男性同様の“選別”の結果、強制労働が課されることになります。

 かくして、1942年3月26日、ラーフェンスブリュックから99人の“犯罪者と反社会分子”の女性(非ユダヤ人)がアウシュヴィッツに移送され、ひとまず、第1収容所1号棟から10号棟に入れられました。そして、同年8月初旬、ビルケナウの第2収容所内のBIa区域に30棟の収容棟が完成すると、最初に到着した99人を囚人頭として、1万3000人の女性がそこに移送されます。その後、1943年7月以降、ビルケナウではBIb区域が女性の収容区域となりました。

 ビルケナウの女性収容者は、収容所内の事務作業のほか、麦・野菜の栽培などの農作業や魚の養殖、家畜の飼育などを主として担当しましたが、屋外での作業は過酷で、働けなくなったと見なされた収容者は収容所内25号棟のガス室で殺されました。また、妊娠が判明するとフェノール注射で殺されたほか、人体実験の材料とされることもありました。

 今回ご紹介の葉書は、裏面の書き込みによると、1943年8月14日に差し出されたものですが、残念ながら消印は押されていません。なお、葉書の左側に印刷されている注意書等は、文字のフォントも含めてタイプ2の葉書と同じなので、両者はほぼ同時期に作成したのではないかと推測できます。

 なお、アウシュヴィッツの収容者が差し出した郵便物と、そこからみえてくる収容所内の生活については、拙著『アウシュヴィッツの手紙』でもいろいろご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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