内藤陽介 Yosuke NAITO
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 堅決反對美國重新武装日本
2016-03-29 Tue 14:54
 安全保障関連法が、きょう(29日)午前0時に施行されましたが、これに先立ち、きのう(28日)、中国外務省の洪磊報道官は定例記者会見で「アジアの近隣諸国がこの問題を注視してきた原因は歴史にある。日本が軍事・安全保障分野で慎重に行動し、隣国との相互信頼を深め、地域の安定に寄与する政策を実行するよう望む」などとわが国を牽制するコメントを発表しました。というわけで、いまも昔も変わらぬ、かの国の論調を示す資料として、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      日本再軍備反対標語・上海

 これは、1951年9月3日、上海で差し出された市内便で“堅決反對美國 重新武装日本”(「米帝国主義による日本の再武装に強く反対しよう」といった程度意味になりましょうか)のスローガン印が押されています。 
 
 さて、第二次大戦の終結以来、連合軍(実質的には米軍)の占領下に置かれていた日本では、当初、民主化と非軍事化の名の下に、旧大日本帝国の精神的・物理的な武装解除が進められました。しかし、1948年8月に朝鮮半島で両政府が成立し、翌1949年10月に中国大陸が共産化するなど、東西冷戦が東アジアでも本格化すると、米国は日本の占領方針を転換。日本を反響の防波堤として育成するため、民主化よりも経済復興を優先させるようになりました。

 1950年6月に勃発した朝鮮戦争は、こうした方向性を決定付け、開戦後、日本は米軍の兵站基地として重要な役割を担うことになります。そして、駐日米軍が朝鮮へと派遣されると、日本国内には防衛兵力、治安維持兵力が存在しなくなり、その軍事的空白を埋める必要が生じたため、1950年8月10日、警察予備隊令が創設されました。

 警察予備隊は、当初、軽装備の治安部隊に近いものとして構想されていましたが、朝鮮での戦争が長期化し、中国人民志願軍の参戦により戦争が米中代理戦争化すると、警察予備隊を重武装化するよう方針が転換されます。

 これに対して、警察予備隊の創設による日本の“再武装”は、ポツダム宣言や『日本国憲法』第9条に抵触するとして、まずはソ連が反発。日本国内でも左翼陣営がこれに同調し、反対闘争を展開。さらに、1951年9月、サンフランシスコ講和条約と同時に日米安保条約が調印され、講和条約の発効による日本の独立回復後も米軍の駐留が継続されることになると、共産主義諸国はこれに反発し、ソ連・チェコスロバキア・ポーランドの3ヵ国は条約の調印を拒否。日本国内でも、これに同調した“進歩的知識人”が(対共産主義諸国を含む)全面講和論を展開しました。

 今回ご紹介のカバーのスローガン印は、こうした状況の下で、上海の市内便に押されたものです。この時期、中国では、国民世論を誘導するため、この種のスローガン印がいろいろ使われましたが、そうした印は、中央で統一的に印を作成・支給したのではなく、各地の現場が独自に制作したため、地域ごとに文面などのヴァラエティがあります。

 なお、このあたりの事情については、拙著『朝鮮戦争』でもいろいろご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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