内藤陽介 Yosuke NAITO
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 小さな世界のお菓子たち:キャンディの切手
2016-04-07 Thu 08:43
 ご報告が遅くなりましたが、大手製菓メーカー(株)ロッテの季刊広報誌『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』の第31号(2016年春号)ができあがりました。僕の連載「小さな世界のお菓子たち」では、今回は、こんな切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

      セントヘレナ・キャンディ

 これは、1998年にセントヘレナが発行したクリスマス切手のうち、伝統的な工芸品に盛り付けられたキャンディとクルミを取り上げた1枚です。

 欧州での戦争に敗れた皇帝ナポレオンが、流刑地として晩年を過ごしたセントヘレナ島は、南大西洋に浮かぶ面積122平方キロの火山島で、最も近い陸地となるアフリカ大陸西岸まで2700キロメートル(ほぼ北海道=沖縄間に相当)も離れています。

 この島は、1502年5月、ポルトガルの航海家ジョアン・ダ・ノーヴァによって発見され、1834年4月、英国の王領直轄地となりました。1853年には米国ペリー艦隊が日本への航海の途中で石炭を補給するために帰港するなど、大西洋とインド洋を結ぶ中継基地として繁栄しましたが、1869年にスエズ運河が開通すると、交通量は激減しました。

 行政上は、2009年9月以降、同じく南大西洋上のアセンション島トリスタン・ダ・クーニャとともに、“英海外領土セントヘレナ・アセンションおよびトリスタン・ダ・クーニャ”を構成していますが、現在でも、1856年以来の“セントヘレナ”単独名義の切手が発行され続けています。

 セントヘレナ島の人口は約4200人。その大半は、セントヘレナ人(英国系白人とアフリカ系などの混血)で、宗教的には英国国教会が主流です。そうしたこともあって、毎年、クリスマス切手が発行されています。

 1998年のクリスマス切手は、島の工芸品を取り上げた4種セットで発行されましたが、そのうち今回ご紹介の20ペンス切手には、島の伝統的なろくろ工芸で作られた木の器にキャンディとクルミが山と盛られたようすが描かれています。

 セントヘレナ島にはコーヒー以外には輸出産業はなく、自給自足の小規模農業や漁業、手工業が細々とおこなわれていますが、それだけで島民の生活を支えるのは不可能なため、食料をはじめ多くの生活物資は英本国ないしは南アフリカからの輸入に頼らざるをえません。

 さらに、2016年5月に島で最初の空港が開港し、ヨハネスブルク(南アフリカ)との間で週1便の旅客機の運行が始まる予定とされていますが、この記事を書いている時点では、島外からの定期的な交通は、ケープタウン(南アフリカ)からの船便が年12便、アセンション島からの船便が年14便あるだけです。このため、品物が入荷すると、外国人向けのホテルやレストランなどが高値で品物を買い占めてしまうこともあって、島民は慢性的なモノ不足に悩まされています。

 こうした状況ですから、器に入りきらないほどのキャンディとクルミ(どちらも島内では生産されておらず、輸入品です)の切手は、それだけで、クリスマスならではの華やいだ雰囲気のイメージを表現したことになるのでしょう。切手の主役は、表向きは木の器ですが、デザイン上は、脇役であるはずのキャンディが完全に主役を食ってしまった格好です。

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