内藤陽介 Yosuke NAITO
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 “アルプス越え”のルートが判明
2016-04-09 Sat 09:25
 紀元前3世紀、カルタゴのハンニバル将軍による“アルプス越え”したルートを、北アイルランドのクイーンズ大学ベルファストなどの研究チームが、軍馬の糞の痕跡から特定したそうです。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      テュニジア・ハンニバル(1995)

 これは、1995年にテュニジアで発行されたハンニバルの肖像切手です。

 紀元前264-241年の第一次ポエニ戦争の結果、カルタゴはシチリア島をローマに割譲しました。その損失を補うため、カルタゴは、当時未開の地であったヒスパニア(イベリア半島)の征服と植民地化が進められ、紀元前226年、ローマとの間にエブロ川以北には進出しない旨の誓約が交わされました。

 紀元前221年、ヒスパニア開発に尽力したハスドルバルが暗殺され、その後継者となったハンニバルは、カルタゴの防衛のためには地中海の制海権を握るローマを屈服させねばならず、そのためには、イタリア本土を直接攻撃することが必要であると考え、アルプス山脈を越え、ローマの防備の薄い北方から侵攻するという作戦を立案。紀元前218年5月、カルタゴ・ノヴァ(現カルタヘナ)から海岸線沿いに南フランスを進み、5万の兵と37頭の象を率いてアルプス越えに挑みました。これが第二次ポエニ戦争の始まりです。

 このアルプス越えの具体的なルートについては、当時の記録が残されていなかったこともあり、これまで諸説がありましたが、今回の研究チームは、フランスとイタリアの国境付近にあるトラベルセッテ峠を調査し、軍馬の糞と思われる堆積物を大量に発見。その分析から、ハンニバルの時代のクロストリジウム属の微生物を確認し、ハンニバル軍が通過したことを明らかにしたというわけです。

 さて、過酷な行軍により、イタリアに到着した際のカルタゴ軍の兵力は2万6000名と象3頭にまで激減していましたが、カルタゴ軍がイタリア北部に出現したことはローマに大きな衝撃を与え、以後、カルタゴ軍はイタリア半島各地でローマ軍を撃破しました。

 しかし、カルタゴ本国の無策から、ローマはハンニバルの拠点であったイベリア半島を攻略。さらに、勢いに乗ったローマ軍は、北アフリカへ逆侵攻し、カルタゴ本国での敗戦に狼狽した政府はハンニバルを本国に召還し、紀元前202年のザマの戦いで、カルタゴは敗北しました。

 第二次ポエニ戦争後、カルタゴはローマから懲罰として巨額の賠償金(ローマはカルタゴがこれを拒否したら、カルタゴに宣戦布告し、カルタゴを滅亡させようと考えていました)を課せられましたが、ハンニバルは経費節減による行政改革を徹底して賠償金返済を完遂し、政治指導者としても並々ならぬ力量を発揮します。

 しかし、国内の権力闘争から反ハンニバル派が「ハンニバルはシリアと内通している」とローマへ訴えたことで、ハンニバルはカルタゴを脱出し、シリアへと亡命を余儀なくされます。その後、彼は、シリア軍を率いてローマと対峙したものの、結局は敗北。クレタ島、そして黒海沿岸のビテュニア王国へと亡命した後、服毒自殺しました。

 ちなみに、切手に取り上げられているハンニバルの肖像は、1704年にフランスの彫刻家セバスティアン・スロッツが制作した大理石の彫刻がもとになっています。スロッツの作品は高さ2.5m で、ハンニバルが紀元前216年のカンネーの戦いで葬ったローマ貴族の指輪を数えている場面を表現したもので、ルーヴル美術館のピュジェの中庭に、ニコラ・クストゥーの彫刻“ユリウス・カエサル”と対になって飾られています。


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