内藤陽介 Yosuke NAITO
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 中国がピレウス港を買収
2016-04-10 Sun 15:45
 中国政府の管理下にある国有企業で中国海運最大手の中国遠洋運輸集団(コスコ・グループ)は、きのう(8日)、ギリシャ最大の港で地中海の要衝、ピレウス港を管理するピレウス港湾公社(OLP)の株式の67%を2段階に分け、計3億6850万ユーロ(約450億円)で取得する契約を正式に調印しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・ピレウス港50年

 これは、1980年にギリシャが発行したPPA50年の記念切手で、同港でのコンテナ埠頭が描かれています。

 ピレウスはアテネの外港で、古代ギリシャ時代から水深の深い3つの港があり、紀元前493年にはアテナイの海軍基地が建設されました。軍事・商業の両面で重要な港湾都市であったために、紀元前5世紀のアテナイとスパルタの戦い以来、幾度となく破壊されましたが、395年、ゴート族によって破壊されたことで、ながらく停滞の時期に入ります。

 1832年、近代ギリシャが独立し、首都がアテネに置かれると、首都に近いピレウスは再び脚光を浴びることになり、港湾都市としての再開発が始まり、1869年のアテネ=ピレウス鉄道開通、1893年のコリントス運河完成を経て、1898年、第1埠頭が完成。1904年には港への電力提供が始まり、1906年には第2埠頭が完成して、5350隻・325万トンの船舶処理能力を持つ近代的な港湾としての体裁が整えられました。

 ピレウス港の管理・運営については、1911年、15人からなるピレウス港湾委員会が設立され、同委員会の下で港湾施設の拡充が行われていましたが、1930年、同委員会はOLPに改組され、以後、同公社がピレウス港の管理・運営を行っていました。今回ご紹介の切手はここから起算して発行されたものです。

  2010年以来、深刻な経済状況が続いているギリシャは、現在、EUとIMFの支援を受けて財政再建中ですが、ピレウス港などの国有資産の民営化が支援実行の条件とされています。当初、チプラス政権は民営化に反対していましたが、現在では民営化推進姿勢に転じており、今回のOLP売却はその象徴的な出来事となりました。

 一方、中国側としては、ピレウス港の買収は、いわゆる“新シルクロード構想”にとって不可欠の事業であり、将来的には、中国海軍が欧州に進出する際の拠点として同港を利用することも視野に入れているといわれています。報道によれば、中国の外交関係者は「中国企業がピレウス港をうまく運営できれば、ほかの港を買収する際の抵抗が少なくなる」と話しているそうですが、ちょっと不気味な話ですな。


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