内藤陽介 Yosuke NAITO
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 “黄金のアフガニスタン展”はじまる
2016-04-12 Tue 16:19
 きょう(12日)から、東京・上野の東京国立博物館・表慶館で、「黄金のアフガニスタン-守りぬかれたシルクロードの秘宝」が始まりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      アフガニスタン・マカラに乗る女性(1983)  アフガニスタン・マカラに乗る女性(実物)

 これは、1983年にアフガニスタンで発行された“世界観光の日”の記念切手で、カブールの国立博物館に展示されている“マカラに乗る女性像”3体が取り上げられています。今回の展覧会には、この3体のうち、右側の一体(切手の右側に実物の写真を貼っておきました)が展示されるようで、展覧会のサイトでもその写真が紹介されていました。

 マカラはインド神話に登場する怪魚で、象のような鼻、とぐろ巻く尾を持ち、ヴァルナ神の乗物とされています。水を操る力を持つため、マカラの棲むとされる場所が崇拝の対象とされたほか、今回ご紹介の切手にみられるように、マカラの上に立つ女性の姿によって、川神の表現とされることもありました。

 切手に取り上げられた3体の像は、いずれも、1-3世紀のクシャーン朝時代のベグラム遺跡から出土したものです。べグラムは首都カブールの北約70km、海抜1600mの高地にあり、クシャーン朝の夏の都でした。なお、切手の刷色からか、スコット・カタログなどでは黄金の像という説明が付けられていますが、べグラムは象牙で有名な場所で、切手の像も3体とも象牙製です。

 さて、1979年のソ連軍による軍事介入以来の混乱の中で、アフガニスタンの文化財も危機的な状況に置かれていました。

 親ソ政権時代末期の1988年には首都カブールの情勢もかなり悪化したため、アフガニスタン政府と国立博物館は文化財の破壊と略奪を防ぐべく、所蔵品を博物館外に移し、情勢が安定するまで秘匿しておくことを計画。これを受けて、1989年までに、特に重要とみなされた文化財が大統領府敷地内の情報省ならびに中央銀行の金庫に移されました。

 その後、ソ連軍撤退後の内戦を経て、1996年9月、州都カブールを含むアフガニスタンの8割以上を制圧したターリバーンは国内のすべての偶像の破壊を命じ、2001年にはバーミヤンの大仏も破壊しました。当然、多くの文化遺産が破壊され、博物館のスタッフにもさまざまな圧力がかかりましたが、彼らは秘密を一切口外せず、また、大統領府の建物も破壊されなかったため、(文字どおりの意味での)秘蔵の文化財は奇跡的に難を逃れています。

 その後、2001年、911テロ事件の首謀者、ウサマ・ビン・ラディンを匿っているとの理由で米国がアフガニスタンを空爆し、ターリバーン政権は崩壊。2003年、総選挙を経てハミド・カルザイ政権が発足すると、ようやく、アフガニスタン中央銀行は大統領府内に貴重な文化財を秘蔵していたことを公表しました。

 これを受けて、ナショナル ジオグラフィック協会の考古学者、フレデリック・ヒーバートら専門家がカブールに集まり、2004年以降、アフガニスタンの文化遺産復興を支援するため、再び日の目を見ることになった“秘宝”の国際巡回展を開催することが計画されました。こうして、2006年のフランス・ギメ国立東洋美術館での展覧会を皮切りに、ニューヨークのメトロポリタン美術館、大英博物館など、世界10か国を巡回して、今回、東京での展覧会開催になりました。

 今回の展覧会では、戦火を逃れた秘宝231件に加え、6月19日までの展覧会の終了後、アフガニスタンに返還されることとなった流出文化財15件が出品されるそうです。


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