内藤陽介 Yosuke NAITO
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 仁和寺ブラック
2016-04-14 Thu 12:03
 世界遺産・仁和寺が運営する宿坊の元料理長の男性が、過酷な長時間労働で抑うつ状態になったとして、寺を相手取り損害賠償などを求めていた訴訟で、京都地裁は、原告の主張を認め、仁和寺に総額約4253万円の支払いを命じました。というわけで、きょうは仁和寺がらみでこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      応挙・深山大沢図

 これは、1979年の国際文通週間の切手で、仁和寺所蔵の「深山大沢図屏風」の一部が取り上げられています。「深山大沢図」は円山応挙による紙本淡彩、六曲一双の屏風絵で、「深山図」と「大沢図」から構成されています。切手に取り上げられているのは右隻の「深山図」の三扇目上部、杉の梢に停まるフクロウの部分です。

 作品は、水墨画に近い淡彩色の画面に、樹葉の微妙な明暗がいかにも山の冷気を感じさせ、フクロウの羽毛の描写も濡れているような感触を伝え、ことに瞳の描写に精彩があると言われています。

 切手では、そうした原画の持ち味を生かすため、明るい灰、うす黄茶、灰味赤紫、うす茶、黒の5色が用られました。すなわち、最初に“明るい灰”で前面にベタがけした上に、オリジナルの屏風の汚れやしみも忠実に再現するため“うす黄茶”と“灰味赤紫”が用いられました。“うす茶”はフクロウの部分を中心に、黒色は線の部分に用いられています。一見、単純な墨一色の作品と見られがちですが、よりリアルに墨跡を表現するために、さまざまな工夫がなされていたわけです。

 さて、今回の判決によると、原告の男性は2004年から仁和寺の宿泊施設“御室会館”の食堂に勤務し、翌2005年からは料理長として働いていましたが、2011年以降、時間外労働が月140時間を超えるのが常態化し、月約240時間に及ぶこともあったほか、2011年は356日出勤し、うち349日は連続して勤務していたそうです。この結果、男性は2012年に抑うつ神経症を発症し、同年から休業しており、提訴にいたったそうです。判決文の通りだとすると、仁和寺というのはとんでもないブラック企業だったということになります。

 仁和寺の法師といえば、『徒然草』では、鼎をかぶって踊っていたら頭から抜けなくなったり、石清水八幡宮に詣でたものの肝心の本宮をお参りせずに帰ってしまったりといった、おバカなエピソードが紹介されていることで知られています。もっとも『徒然草』のエピソードは、バカな奴だなぁと笑って済まされるものが多いのですが、今回の料理長に対する一件は全く笑えません。

 判決を受けて、仁和寺側は「主張が認められず残念。判決文を精査し、今後の対応を決めたい」とする談話を出しており、控訴する構えだそうですが、どうやら、“仁和寺の法師”が非常識なのは、いまも昔も変わりはないということなのでしょうな。


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