内藤陽介 Yosuke NAITO
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 Erin go Bragh
2016-04-24 Sun 11:15
 1916年4月24日にアイルランドで起きたイースター蜂起から、今日でちょうど100周年です。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      アイルランド・イースター蜂起25年

 これは、1941年にアイルランドで発行された“イースター蜂起25周年”の記念切手です。

 1534年、イングランド王ヘンリー8世が国王至上法(首長令)を公布し、イングランド国教会がカトリックから独立しましたが、イングランドとウェールズ、後にはスコットランドがプロテスタントを受け入れたのに対して、アイルランドではカトリックの教義を守り続けました。このため、17世紀のクロムウェルによる植民地化以来、アイルランドでは、カトリックが多数を占めるアイルランド人に対する英国国教会の差別や弾圧が続きます。

 さらに、1801年、グレートブリテンおよびアイルランド連合王国が成立すると、アイルランドは国外植民地としての自主性も失い、完全に英国に併合され、同化政策が行われました。このため、19世紀に入ると、アイルランドでは英本国からの分離独立を求める民族運動が高揚しましたが、全島32州のうちプロテスタント住民が多数派を占める北部のアルスター6州では、独立に反対する声も少なくありませんでした。

 こうした背景の下、1912年、アイルランド自治法案が英国下院に提出され、1914年9月に成立します。しかし、第一次世界大戦の勃発によりアイルランドの自治が凍結されてしまいます。その過程で、1913年、アイルランドの独立に反対する北部6州でプロテスタント系武装組織としてアルスター義勇軍が結成されると、これに対抗して、独立派のアイルランド共和主義同盟(IRB)のパトリック・ピアーズらはカトリック系武装組織としてアイルランド義勇軍を組織します。

 こうした中で、IRBは、「イングランドの困難はアイルランドの機会である」との古い格言に基づき、大戦が終わる前に何らかの行動を起こすことを決定。アイルランド義勇軍にも参加していたパトリック・ピアースやジョセフ・プランケット、英外交官だったサー・ロジャー・ケースメントが中心となり、アイルランド市民軍を率いるジェームズコノリーを指揮官として武装蜂起の計画を進めました。

 彼らは、1916年4月23日のイースター当日の蜂起決行に向けて準備を進め、4月初、ピアースが「イースターの日曜日から3日間、ダブリン市内でパレードと演習を行なう」と新聞紙上で発表します。一般の義勇軍メンバーには知らされていませんでしたが、ピアースはパレードと演習に動員した兵力を、そのまま、対英叛乱に転用しようと考えたわけです。

 彼らは、敵の敵は味方というわけで、ドイツから2万5000丁のライフル銃と100万の弾薬を入手しましたが、計画は英政府に察知され、武器を積んでいた船は英側に拿捕されてしまいます。このため、いったんは蜂起の中止が決定されましたが、ピアースやコノリーは、アイルランド人の独立意識を覚醒するためには血を流すことが必要と考え、予定より1日遅れた4月24日のイースター・マンデーに、義勇軍1000、市民軍250での蜂起を敢行しました。これが、いわゆるイースター蜂起です。

 蜂起当日、叛乱側は、オコンネル通りにあったダブリン中央郵便局を占拠して本部とし、その玄関ポーチの会談から、臨時大統領に就任したピアースが「アイルランド共和国宣言」を読みあげます。しかし、当初、優勢であった叛乱軍でしたが、しだいに英国に圧倒され、28日には、叛乱軍1600人に対して英国軍は約2万人を動員して総攻撃を開始。このため、翌29日、叛乱側は無条件降伏を余儀なくされました。この間の死傷者数は3000人以上に上っています。

 蜂起の鎮圧当初、アイルランド人の中にも叛乱軍の無謀さを非難する声は少なくありませんでしたが、5月2日から始まった軍法会議で19人に対して死刑が宣告され、早くも翌3日からピアス、コノリーを含む叛乱指導部がキルメイナム刑務所やダブリン城で処刑されたことで、アイルランド人の愛国心と反英感情が一挙に高まり、独立運動が高揚。1918年の総選挙では独立派のシン・フェイン党が勝利し、1919年のアイルランド共和国の独立宣言を経て、アイルランド独立戦争が勃発します。この結果、1921年、独立派とイギリスは英愛条約を結び、南部26州(南アイルランド)は英国王を元首とする同君連合国家(ドミニオン)アイルランド自由国として分離することになりました。


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