内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の国々:ヴァティカン
2016-05-11 Wed 10:07
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2016年5月11日号が先週、発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はヴァティカンの特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ヴァティカン最初の切手

 これは、1929年、ヴァティカン市国として発行された最初の切手です。

 1861年、サルディニアを軸に成立したイタリア王国は、教皇領北部を接収し、教皇領は南部のローマ市とラティウム地方のみに縮小されます。さらに、イタリア王国はサルディニアの王都トリノで、新生イタリア王国の首都はローマであると宣言し、教皇ピウス9世に対して、ローマ市街の割譲を要求したばかりか、教皇に対してヴァティカンとラテラノ宮殿の占有を認める代わりに、年額32万5000リラを王国側に支払うよう要求しました。

 当然、教皇はこれに激しく抵抗しましたが、1870年、軍事的な後ろ盾となっていたフランスが普仏戦争で敗北し、教皇領から撤退。これを受けて、同年9月20日、イタリア軍はローマを占領し、国家としての教皇領は地上から消滅。教皇はヴァティカンに引きこもって“ヴァティカンの囚人”を自称するようになります。

 以後、半世紀以上に渡り、教皇とイタリア政府の関係は断絶状態にありましたが、1929年2月11日、教皇ピウス11世の全権代理ガスパッリ枢機卿とイタリアのベニート・ムッソリーニ首相との間で合意が成立。教皇庁が教皇領の権利を放棄するかわりに、ヴァティカンを独立国家とし、イタリアにおけるカトリック教会の特別な地位を保証するとしたラテラノ条約が6月2日に締結され、現在のヴァティカン市国が誕生しました。

 これと並行して、ラテラノ条約締結前日の6月1日、教皇庁は“ヴァティカン市国”としてUPUへの加盟を申請。条約締結後の6月7日にヴァティカン郵政が正式に発足したことを受けて、同年7月29日、ヴァティカン、イタリア両政府の間で郵便に関する実務協定が調印され、8月1日からヴァティカン郵政の業務開始に合わせて、今回ご紹介の切手が発行されたというわけです。

 さて、『世界の切手コレクション』4月27日号の「世界の国々」では、今回ご紹介の切手を含むヴァティカン市国成立史の記事に加え、スイス衛兵、サン・ピエトロ大聖堂、現教皇フランシスコ聖なる扉の開扉式の切手などもご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。

 なお、僕が担当する「世界の国々」は、次回は1週お休みをいただいて18日発売の5月25号でのインドの特集になります。こちらについては、25日以降、このブログでもご紹介する予定です。


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