内藤陽介 Yosuke NAITO
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 こどもの日
2016-05-05 Thu 18:07
 きょう(5日)は“こどもの日”です。今年(2016年)は、ユダヤ暦5776年ニサン月(1月)27日の“ショアの日(ホロコースト記念日。西暦1945年1月27日のアウシュヴィッツ解放記念日をユダヤ暦に換算して制定)”とも重なりましたので、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       チェコスロヴァキア・テレジーン収容所30年(児童画)

 これは、1968年にチェコスロヴァキアが発行した“ミュンヘン協定30年”の記念切手のうち、テレジーン(ドイツ語名テレジエンシュタット)収容所の子供が描いた収容者の子供(画面左側)とゲシュタポの児童画を取り上げた1枚です。

 1938年9月30日に行われたミュンヘン会談の結果、対独宥和政策を取る英国のネヴィル・チェンバレン首相、フランスのエドゥアール・ダラディエ首相は、「ズデーテンラントは我々の最後の領土的要求であり、チェコスロヴァキアの独立を侵害するつもりはない」と主張するヒトラーに譲歩し、ズデーテン地方のドイツ編入を容認。同年10月1日には、ズデーテンラントでのドイツによる軍政が施行されました。その後、ヒトラーは前言を翻し、1939年3月、チェコスロヴァキア国家を解体。ドイツはチェコ地域の主要部を併合して、ボヘミアとモラビアの主要部分にベーメン・メーレン保護領(ボヘミア・モラビアのドイツ語読み)を設置しました。

 さて、テレジーン(テレジエンシュタット)は、もともとは、18世紀後半にオーストリアが建設した要塞で、その名は女帝マリア・テレジアにちなんで命名された都市です。

 1941年10月、ベーメン・メーレン保護領副総督にして国家保安本部長官だった親衛隊大将のラインハルト・ハイドリヒは、同年末までに保護領を“ユーデンライン(ユダヤ人が存在しない地)”にすると宣言し、11月26日から12月3日にかけてプラハとブルノのユダヤ人5000人をリッツマンシュタット(ポーランド名ウッチ)のゲットーへ追放しようとしました。しかし、リッツマンシュタットの行政当局は同地のユダヤ人の受け入れは限界に達しているとしてこれを拒否。このため、保護領のユダヤ人を一時的に収容する中継収容所が必要となり、1941年11月に建設されたのが、テレージエンシュタット強制収容所です。

 この収容所は、国際赤十字の視察調査を受け入れるための施設という色彩が強かったため、他の収容所より外観が丁寧に整えるなど、収容者を優遇していることを装う風が整えられていたことでも知られています。その一環として、1943年7月には、テレージエンシュタット収容所から発送する小包用の切手も発行されました。

 もっとも、実際のテレージエンシュタット収容所には、1941年11月24日から1945年4月20日までの間、総計14万人以上のユダヤ人が収容され、そのうち3万3000人以上が亡くなっています。この数字は、他の収容所よりは多少はましだったのかもしれませんが、それでも、過酷な状況であったことには変わりありません。

 また、『夜と霧』の作者、ヴィクトール・フランクルを含む8万8000人は、ここからさらにアウシュヴィッツなどへ移送されており、テレージエンシュタットは、欧州各地から移送した収容者を次の目的地に送るまでの中継地点、すなわち、“通過収容所”としての性格も強かったといえましょう。

 テレジエンシュタットを含むヨーロッパ各地からすし詰め状態の貨車に乗せられて、アウシュヴィッツに連れて来られたユダヤ人は、13歳以上の男性、女性(の大半)と13歳以下の子供、老人に分けられ、家族は離れ離れにされました。そして、収容所到着後、大半の女性と13歳以下の子供、老人などのグループは“無用”と見なされて、剃髪された後、そのままシャワールームに似せたガス室に送られ、登録もされぬまま処刑されました。現在、アウシュヴィッツの犠牲者の数が諸説入り乱れてよくわからないのは、この段階で処刑された人々が多かったことも一因となっているといわれています。

 なお、テレジエンシュタットとアウシュヴィッツの関係については、拙著『アウシュヴィッツの手紙』でもいろいろとまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 

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