内藤陽介 Yosuke NAITO
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 毛沢東:中国を建国した“20世紀の巨人”
2016-05-09 Mon 11:44
 ご報告が遅くなりましたが、洋泉社MOOKの『(ビジュアル伝記)毛沢東 中国を建国した“20世紀の巨人”』が刊行されました。僕も、同書には「毛沢東切手クロニクル」と「世界の毛沢東切手」の2本を寄稿していますので、きょうは、その記事の中から、こんな切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      毛沢東・山東戦郵

 これは、1944年3月、中国共産党(以下、中共)の拠点の一つであった山東抗日根拠地で発行された切手で、毛沢東の肖像を描く者としては最初の1枚となります。

 1937年、日中戦争(支那事変)が始まり、日本軍が華北の諸都市を占領すると、共産党の八路軍第115師団は山西省北部の五台地区に展開し、同年11月7日、八路軍総司令官であった朱徳により晋察冀軍区の成立が宣言されました。以後、中共は自らの実効支配地域を抗日根拠地として“辺区政府”を樹立し、勢力の拡大を図りました。

 山東地域に関しては、1940年8月、山東戦時行政委員会が設立され、1941年1月、清河区に戦時郵便局が開設されました。その後、1942年2月7日、山東戦時工作遂行委員会(以下、戦工会)が全省に「戦時郵便局設立に関する決定」を頒布。同日、中共中央山東分局(1938年12月設立)と山東戦工会は魯中泝蒙区で“山東戦時郵務総局(以下、戦郵総局)”の成立を宣言し、組織大綱と山東戦時郵便局条例と守則を公布しました。

 今回ご紹介の切手は、こうした経緯を経て発足した山東戦郵総局が1944年3月に発行したもので、同図案の刷色違いで5分・1角・5角の3種があります。当初、これらの切手は白紙に凸版で印刷されていましたが、状況の悪化に伴い、印刷方式が簡易な平版に改められたり、用紙も報紙(新聞紙に似たざら紙)も用いられたりするなど、さまざまなバラエティがあります。

 1944年3月というタイミングで毛沢東の肖像が切手に取り上げられるようになったのは、1942-43年に延安で展開された“整風運動”の結果と考えて良いでしょう。

 長征途上の1935年に開催された遵義会議で毛沢東は島内の軍事的・政治的指導権を確立したと言われていますが、その後も、彼の仇敵であるソ連留学派の影響力も隠然たるものがありました。こうしたなかで、日本軍と国民党軍の包囲下で中共は軍事的に劣勢となり、また天災などで食糧・物資が極度に不足して追い詰められていきますが、毛はこれを逆手に取り、1942年2月1日、「文化人の問題、われわれの立場の問題、それらの学習の問題を解決しなければならない」との演説を行い、“学風(学習態度)・党風(党活動)・文風(文書類の表現)”の三風を正すとして三風整頓運動を展開。この結果、1万人以上の“反党分子”が粛清され、毛沢東思想が党の指導理論に掲げられることになりまました。そして、そうした状況を反映して、山東抗日根拠地でも、毛沢東の個人崇拝につながる肖像切手の発行が開始されたというわけです。

 さて、今回の『(ビジュアル伝記)毛沢東 中国を建国した“20世紀の巨人”』では、今回ご紹介の切手以降、第3次国共内戦中華人民共和国の建国チベット侵攻大躍進文化大革命などと毛沢東切手との関連をご説明しているほか、アルバニア、パキスタン、マリ東ドイツ北ヴェトナム、北朝鮮の各国で発行された毛沢東切手もご紹介しております。

 機会がありましたら、ぜひ、お手にとってご覧いただけると幸いです。

 
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