内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ゴーンとテメル
2016-05-14 Sat 08:25
 ブラジル上院は、12日(現地時間)、ジルマ・ルセフ大統領に対する弾劾法廷の設置を賛成多数で可決。これにより、即日、ミシェル・テメル副大統領を大統領代行とする暫定政権が発足しました。また、三菱自動車が日産自動車(以下、日産)から2000億円を超える規模の巨額の出資を受けて事実上、日産の傘下に入るということで、日産のカルロス・ゴーン社長の映像が盛んにメディアで流れていました。いずれもレバノン系ブラジル人のテメル、ゴーンの両氏が日本のメディアで一度に取り上げられる機会も、そうそうないでしょうから、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ブラジル・レバノン(2003年)

 これは、2003年にブラジルで発行されたブラジル=シリア友好の切手で、レバノンの象徴であるレバノン杉がデザインされています。

 現在のレバノン国家に相当する地域からブラジルへの移民は、19世紀後半から始まりました。その一つのきっかけとなったのは、1860年、キリスト教マロン派とイスラム・ドルーズ派の間で流血の抗争が生じた際、オスマン帝国政府によるマロン派の保護が不十分だったことから、マロン派住民が域外に逃れたことにあります。さらに、1870年代に入ると、東アジアからの安価な生糸・絹製品が欧州市場を席巻し、マロン派キリスト教徒の主要産業であった絹産業が壊滅的な打撃を受けたため、新たな仕事を求めてシリア・レバノンからブラジルへの移住が増加しました。

 ちなみに、19世紀のシリア・レバノンからブラジルへの移民は、当初、サンパウロ州に集中していましたが、次第にミナスジェライス州やゴイアス州、リオデジャネイロ州等にも拡大します。また、1922年以前のレバノン人はオスマン帝国の旅券を持っていたため、ブラジル側は彼らを“トルコ人”として扱っていました。

 1914年に第一次大戦が勃発し、東地中海も戦場になると、シリア・レバノンの地域からブラジルに渡る移民も急増。1933年までに、13万人のレバノン人がブラジルに渡りました。また、そのうちの65%はカトリック(その中心は、東方典礼カトリック教会の一派としてのマロン派)、20%は東方正教会で、15%がムスリムでした。

 現在、ブラジルには700万人弱のレバノン系国民が住んでいますが、これは、レバノン本国の人口(2013年の時点で446万7000人)よりも多く、その意味では、ブラジルはレバノン人にとって最も重要な拠点の一つといってもよいでしょう。

 ちなみに、今回、大統領代行に就任したミシェル・テメルは1940年にサンパウロ州ティエテで生まれましたが、彼の両親は、1920年代にレバノン北部のバタアブーラからブラジルに移住したマロン派のレバノン人です。これに対して、1954年生まれのカルロス・ゴーンは、両親ともにレバノン系の家庭に生まれた移民3世ですが、1960年にベイルートに渡ってイエズス会系のコレージュ・ドゥ・ノートルダム・ドゥ・ジャンブールで中等教育を受けた後、パリで大学を卒業し、ミシュランに入社…というキャリアをたどっています。

 さて、現在、8月の五輪開催にあわせて、リオデジャネイロを題材とした本を刊行すべく、制作作業を進めています。書籍のタイトルや定価、刊行日などの詳細につきましては、追々、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします。
 

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 本年(2016年)12月2-6日、中華人民共和国広西チワン族自治区南寧市の南寧国際会展中心において、アジア国際切手展<CHINA 2016>(以下、南寧展)が開催されます。同展の日本コミッショナーは、不詳・内藤がお引き受けすることになりました。

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 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

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