内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手歳時記:五月の夫婦岩
2016-05-21 Sat 10:26
 ご報告が遅くなりましたが、公益財団法人・通信文化協会の雑誌『通信文化』2016年5月号ができあがりました。今回は来週開幕の伊勢志摩サミットに合わせて、僕の連載「切手歳時記」も、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      二見浦(国立公園)

 これは、1953年10月2日に発行された伊勢志摩国立公園の切手のうち、二見浦の夫婦岩を取り上げた1枚です。

  二見浦の夫婦岩に架かっている大注連縄は1本35mのものが5本あって、男岩(立石)に16m、女岩(根尻岩)に10m張られており、その間は9メートルあります。

 架けられている場所が場所だけに、神社の軒先などにかかっているものと比べると傷みが激しいためか、夫婦岩の注連縄は年に3回、5月5日と9月5日、それから12月中旬の土曜日に張替の神事が行われます。

 夫婦岩から朝日が覗く風景は初日の出のイメージで新年のカレンダーに使われることもありますが、実際に、そうした景色が拝めるのは夏至の前後2ヶ月間、つまりは4月下旬から8月下旬までです。したがって、昭和12(1937)年用の年賀切手に描かれている夫婦岩にも、正月の風景としては太陽が描かれていません。

 なお、夫婦岩を描く切手としては、件の年賀切手のほかに、今回ご紹介の1枚があるのですが、こちらの方が画面も大きく構図に迫力があるので、僕としては、夫婦岩の切手を1枚選ぶなら、迷わずこちらを推しますね。

 神域と俗界を隔てる注連縄が夫婦岩に架けられているのは、ここから700mの沖合の海中に、二見興玉神社の御神体、猿田彦大神ゆかりの霊石、“興玉神石”があって、夫婦岩から先は神域にあたるとされているためです。

 『古事記』によれば、天照大神の命を受けた瓊瓊杵尊が三種の神器とともに天から下った際、天と地の境にあたる“天の八衢”にいた猿田彦は、途中の邪を祓いながら、瓊瓊杵尊を地上に導きました。興玉神石は、このとき、猿田彦が降り立った場所とも、猿田彦の化身ともいわれています。

 その後、垂仁天皇(在位:西暦前29-後70年)の御世に、皇女倭姫命は天照皇大神の神霊を奉戴して二見浦に船を停め、猿田彦ゆかりの興玉神石を拝礼するための場所として、夫婦岩に注連縄を張り拝所を設けたとされています。さらに、天平年間(729-49年)、行基がこの地にやってきて興玉神社を創建しますが、この時代には、干潮時には興玉神石の岩頭が海面から姿を現していました。現在のように、興玉神石が完全に海中に水没してしまうのは、1854年の安政大地震以降のことです。

 この興玉神社と、宇迦御魂大神(伏見稲荷大社の主祭神。いわゆる“お稲荷さん”)を祀る三宮神社が、1910年に合祀され、現在の二見興玉神社が誕生しました。なお、1918年の台風で女岩は根元から折れ、その後修復されたので、以前とは、若干、姿が異なっています。

 5月5日に注連縄の張り替えに続いて、5月下旬(ことしは21日。つまり今日です!)には、藻刈神事が行われます。

 この神事は、神職らが榊や幟を立てた船に乗り、興玉神石の付近で三周した後、海中にお神酒や神饌をささげて、興玉神石からアマモを刈り取るもので、下船後、アマモは神前に供えられた後、境内で天日干しにして、祓いの具やお守りとして用いる無垢塩草となります。その工程には約1ヵ月かかるので、ちょうど、夏至の頃にできあがるという勘定です。

 二見浦では、毎年夏至の日には、白装束に身を包んだ300人近くの善男善女が、天照大神を迎えるために、祝詞を唱え気合いを入れつつ海に入り、朝日に向かって国歌を斉唱する夏至祭りが行われますが、その年の無垢塩草を使った新しいお守りも、これにあわせて配られるということなのでしょう。

 
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