内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 “戦場にかける橋”で負傷事故
2016-05-22 Sun 15:22
 映画「戦場にかける橋」の舞台として知られるタイ中部カンチャナブリ県のクウェー川鉄橋で、きのう(21日)、日本人男性が鉄橋の線路上で写真を撮影していたところ、後方から列車が来ていることに気付かず、はねられて橋から落下し、肋骨を折るなどして病院で手当てを受ける事故があったそうです。お気の毒ではありますが、これはご本人の不注意でしょうから仕方ないでしょう。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      タイ収容所・タイプ2(オランダ宛)  タイ収容所・タイプ2(オランダ宛・裏面)

 これは、先の大戦中、泰俘虜収容所で使用されたタイプ2と呼ばれる葉書の使用例で、第1分所に抑留されていたオランダ軍の軍曹がスヘフェニンゲン宛に差し出し、その後、ハーグに転送されたものです。

 第2次大戦中の1943年、日本軍は泰緬鉄道の建設にオランダを含む連合国の捕虜を動員するため、“泰俘虜収容所”を設け、タイとビルマにまたがって収容所を設置しました。“泰俘虜収容所”は、鉄道の建設工事が終了した後も存続し、さまざまなタイプの葉書が作られ、捕虜たちに支給されました。

 今回ご紹介のタイプ2の葉書は、タイプ1の後に使用が開始されたもので、やや薄手の白紙に印刷されています。

 タイプ1と異なり表面も黒一色刷で、葉書の上部にはフランス語で捕虜郵便であることを示す“SERVICE DES PRISONNIERS DE GUERRE”の表示が新たに入れられ、「郵便はがき」の日本語表示は外されました。ちなみに、捕虜の通信は一定の条件の下で無料扱いとなるが、そのためには郵便物に万国郵便連合の公用語であるフランス語で捕虜の通信であることを明記しなければなりません。タイプ1の葉書では、そうした表示がなかったため、タイプ2の葉書では改善が図られたものと思われます。

 また、日本語での「俘虜郵便」、「泰俘虜収容所」ならびに検閲印の押印欄や差出人の情報や宛名欄の英文表示のデザインなどもタイプ1とは異なっています。なお、収容所名の記入欄には、泰俘虜収容所をそのまま訳したためか、英文で“Thailand”との表示が印刷されていますが、上述のように、“泰俘虜収容所”の分所はビルマインドシナにも置かれており、実際には差出地がタイ国内に限定されるものではありません。

 裏面の通信欄には、“IMPERIAL JAPANESE ARMY”の題字の下に、日付を記入する欄が設けられています。その下にあらかじめ印刷されている文面は以下の通りです。

  あなたの手紙(と   )をありがたく受け取りました。
  健康状態は(良い ふつう 悪い)です。
  病気で入院しています。
  賃金をもらって働いています。(月給を受け取っています)
  働いていません
  (     )によろしくお伝えください。

 捕虜としての収容期間が長引き、捕虜宛に本国からの郵便物や小包が届くこともあったため、それらの受信状況を相手に知らせるための一文が追加されている点もタイプ1との大きな違いといえましょう。

 なお、泰緬鉄道と鉄道建設に動員された捕虜たちの郵便については、拙著『タイ三都周郵記』でも1章を設けて解説しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。
 
 
 ★★★ アジア国際切手展<CHINA 2016>作品募集中! ★★★

 本年(2016年)12月2-6日、中華人民共和国広西チワン族自治区南寧市の南寧国際会展中心において、アジア国際切手展<CHINA 2016>(以下、南寧展)が開催されます。同展の日本コミッショナーは、不詳・内藤がお引き受けすることになりました。

 現在、出品作品を6月12日(必着)で募集しておりますので、ご興味がおありの方は、ぜひ、こちらをご覧ください。ふるってのご応募を、待ちしております。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。
スポンサーサイト

別窓 | タイ:ラーマ8世時代 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< 南アのスタンダード銀行 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  切手歳時記:五月の夫婦岩>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/