内藤陽介 Yosuke NAITO
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 中宮寺半跏菩薩像、海を渡る
2016-05-24 Tue 20:07
 日韓でそれぞれ国宝に指定されている仏像の半跏思惟像を1体ずつ共同で展示する“韓日国宝半跏思惟像の出会い”展が、きょう(24日)から、ソウルの国立中央博物館で始まり、日本からは、奈良・斑鳩の中宮寺の本尊、半跏菩薩像が展示されています。中宮寺の半跏菩薩像が海外で展示されるのは、今回が初めてのことです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      中宮寺仏像(実験用)

 これは、1966年頃、郵便自動化の実験用に作られた“切手”です。中宮寺の半跏菩薩像は、1951年に50円切手(ゼロ付)に取り上げられて以来、1980年10月1日にソメイヨシノの切手が発行されるまで、約30年にわたり、5種類の50円切手の題材として使われ続けました。

 すなわち、1951年5月1日に発行された最初の半跏菩薩像切手は当時の書留速達料金(書留料金30円+速達料金20円)に対応したもので、1952年6月20日には、刷色はそのままに、1円以下を示す00を省略した円位の切手が発行されています。ついで、1966年12月26日には、万国郵便連合の規定に従って“NIPPON”とのローマ字表記を入れ、刷色を小豆色に変更した切手が発行されました。このときの料金体系では、50円は外信書状の基本料金、簡易書留料、速達料金等に対応しています。

 翌1967年7月1日、郵便物の機械処理が開始されるのに伴い、速達料金に対応する通常切手には赤系統の色の枠を印刷することになったため、切手の刷色を赤色に改めたものが発行されました。今回ご紹介の切手は、それに先立ち、実験用につくられたもので、刷色がオレンジ色(1967年に発行された切手は赤)で、額面表示は“0円”となっているほか、読み取り用の横線が入っているなど、実際の切手とは図案も異なっています。

 なお、1976年1月25日、書状の基本料金が50円に値上げされると、書状基本料金用の切手には緑色の枠を印刷する必要から、緑色に刷色を改めたものが発行されます。なお、緑色の50円切手に関しては、自動販売機用のコイル切手や切手帳も作られました。

 さて、今回、ソウルで展示されている半跏菩薩像は、奈良・斑鳩の中宮寺の本尊ですが、じつは、飛鳥時代の作という以外に、その伝来等についてはよくわかっていません。中宮寺の寺伝では“如意輪觀音”とされていますが、わが国では、この名称が使用されるようになったのは密教が本格的に伝来した平安時代以降のことですので、当初は弥勒菩薩像として作られたものと考えられています。

 こうしたこともあって、国宝としての指定名称は“木造菩薩半跏像”ですが、1951年5月1日、この仏像を取り上げた最初の50円切手が発行された際、郵政省の報道発表では像の名を“中宮寺 如意輪観音”となっています。

 なお、中宮寺の半跏菩薩像とその切手については、拙著『切手が伝える仏像:意匠と歴史』でもいろいろご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。

 
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