内藤陽介 Yosuke NAITO
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 モハメド・アリ、亡くなる
2016-06-04 Sat 14:18
 プロボクシングの元世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリ氏(以下、敬称略)が、きのう(現地時間3日)、亡くなりました。享年74歳。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      キンシャサの軌跡(加刷)

 これは、1975年にザイール(現コンゴ民主共和国)で発行された“キンシャサの奇跡1周年”の記念切手です。

 1966年、ヴェトナム戦争さなかの米国で、世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリは徴兵を拒否。このため、1967年、アリは一審で禁錮5年・罰金1万ドルの有罪判決を受け、プロボクサーとしてのライセンスを剥奪され、1970年まで正規の試合ができませんでした。

 一方、違法賭博の胴元として何度も逮捕されていたドン・キングは、1971年に保釈されると、1972年、地元クリーヴランドでチャリティー・イヴェントとしてモハメド・アリによるエキシビジョンマッチを実現し、仲介手数料として8万ドルを手にしていました。

 当時の米国では公民権運動が盛り上がり、黒人の間にも権利意識が高まっていましたが、こうした空気を利用して、キングは「アフリカは黒人の故郷である」として、ボクシングと人種問題を絡めてアフリカでの興行を考えます。

 これに食いついてきたのが、ザイールの独裁者、モブツ・セセ・セコでした。コンゴ民主共和国の独裁者として国号をザイールに変更した彼にとって、アリの試合を開催することは、自分の命名した新国名を世界的に定着させるための絶好の舞台になると思われたからです。

 かくして、モブツはキングに1000万ドルを提供し、1974年10月30日、元王者モハメド・アリと、当時の世界ヘビー級王者ジョージ・フォアマンとの世紀の一戦“ランブル・イン・ザ・ジャングル”が、ザイールの首都キンシャサの“5月20日スタジアム(現タタ・ラファエル・スタジアム)”で行われることになりました。(ちなみに、切手の加刷は1974年9月24日を変更して9月25日となっていますが、これらはいずれも試合当日の日付ではありません)

 当時、アリは32歳。復帰後の1971年には当時のチャンピオン、ジョー・フレージャーと戦って敗れており、すでにボクサーとしてのピークは過ぎたと見られていました。一方、1973年にフレイジャーを破ってチャンピオンの座についたフォアマンは、当時25歳。まさに日の出の勢いで、試合は圧倒的にフォアマンが有利というのが大方の予想でした。

 ところが、アリは、ロープにもたれながらフォアマンのパンチを腕でブロックし、相手の疲れを待つ“ロープ・ア・ドープ”という戦術によって、8回、疲れを見せたフォアマンに一気に反撃し、KO勝利を収めます。

 試合の模様は全世界にテレビ中継され、人々はアリが劇的な復活をとげた“キンシャサの奇跡”に大興奮。アリの第2期黄金時代が開幕しました。

 ちなみに、当時のザイールの通貨は、国名と同じ“ザイール”で、補助通貨はマクタ(1ザイール=100マクタ)でした、今回ご紹介の切手が発行される1年前の1974年、ザイール郵政はこの切手と同図案の切手を発行しており、その額面表示は20マクタとなっていましたが、今回ご紹介の切手は、“ザイール”の名前をより定着させるため、額面表示を“0.20ザイール”に変更しています。

 “キンシャサの奇跡”により、ザイールとその首都キンシャサの名は一躍全世界の人々に認知されることになり、その点では、モブツの思惑通りとなったわけですが、今回ご紹介の切手もまた、そうした事情を反映したものとみてよいでしょう。

 
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