内藤陽介 Yosuke NAITO
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 アルナーチャル・プラデーシュ州
2016-06-16 Thu 11:49
 中印国境地帯のインド側アルナーチャル・プラデーシュ州で、今月9日、中国人民解放軍が国境を越えて侵入していたことが明らかになりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      インド・アルナーチャル・プラデーシュ州

 これは、1997年にデリーで開催されたインド国際切手展の記念切手のうち、アルナーチャル・プラデーシュ州の民族服の女性を取り上げた1枚です。

  アルナーチャル・プラデーシュ州は、主にヒマラヤ山脈東部の中印国境紛争地帯において、インドが実効支配している領域に設置された州で、南はアッサム州、東はミャンマー(ビルマ)、北は中国、西はブータンと接しています。

 現在の中印国境(の一部)は、1914年、チベット政府と英領インド帝国の間で取り決められた国境線“マクマホンライン”がもとになっています。当時のチベットには中国中央政府の統制は完全には及んでおらず、チベットは実質的に独立国の様相を呈していましたが、チベットを中国の一部分だと主張する中華民国は、マクマホン・ラインよりもさらに南側をインドとの国境と主張。1951年にチベットを“平和解放”した中華人民共和国政府もその立場を継承しています。

 中国は1954年にインドと平和五原則を締結し、インド側を油断させたうえで、1959年9月、国境を越えてインド領内に侵攻。さらに、キューバ危機で世界の関心がキューバに集中している隙をついて大規模な国境紛争をインドに仕掛けます。1962年の紛争では、主にカシミールとその東部地域のアクサイチンおよびラダック・ザンスカール・バルティスターン、ブータン東側の東北辺境地区(現・アルナーチャル・プラデーシュ州)での激しい戦闘の末、中国が勝利して国境をインド側に進めました。また、インドの保護国だったシッキム王国でもナトゥラ峠周辺で小規模な戦闘があり、中国は峠の西側を占領してしまいました。
 
 こうした経緯を踏まえ、インドは東北辺境地区のインフラ整備につとめ、1987年、この地にアルナーチャル・プラデーシュ州を創設し、現在に至っています。

 さて、今回の越境事件では、約250人の中国人民解放軍兵士がアルナーチャル・プラデーシュ州内に侵入し、数時間後に退去したそうです。現場周辺は人家がない荒野でインド軍との衝突はなく、けが人もなかったそうですが、事件翌日の10日からは沖縄東方海域で日米印の海上共同訓練マラバールが行われる予定となっていたため、中国側としては、その背後から揺さぶりをかける意図があったのでしょう。まぁ、それだけ、マラバールの抑止効果があったということではあるのですが、ホント、迷惑な話ですな。


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