内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 第2パナマ運河開通
2016-06-27 Mon 09:28
 太平洋と大西洋を結ぶ海上輸送の要衝、パナマ運河の拡張工事が終わり、従来の第1運河に並行する形の第2運河が、きのう(26日)、開通しました。第2運河は水門を拡張し、コンテナ輸送量にして2.6倍の船舶の通航が可能となります。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      パナマ運河・スローガン印カバー

 これは、1953年5月22日、パナマ運河地帯のバルボアからロンドン宛のカバーで、パナマ運河と太平洋=大西洋の地図を描き、「パナマ運河は世界の通商を迅速にする」との文言が入った標語印が押されているのがミソです。ちなみに、今回の第2運河に伴い、米国産液化天然ガス(LNG)などを輸入する際、メキシコ湾から東京まで第2運河を経由するとタンカー1隻当たり輸送費2億5000万円・所要25日となり、スエズ運河経由の4億2000万円・所要42日から大幅な節約になりますので、まさに、今回ご紹介の標語印の通りというわけですな。

 さて、パナマ地峡に運河を建設しようという計画のルーツは、古くは1534年、スペインのカルロス1世が調査を指示したことに求められます。

 19世紀になり、スエズ運河を設計したレセップスはパナマ運河の建設を計画し、実際に1880年1月1日に工事も開始しましたが、黄熱病の蔓延や工事の技術的問題、資金調達の面などから、1889年に計画は放棄されてしまいました。

 その後、1902年に米国がパナマ地峡での運河建設を決定。当時、パナマ地峡は自治権をもつコロンビア領でしたが、運河の地政学的重要性に注目した米国は、運河を自らの管轄下におくため、1903年1月22日、コロンビアとの間に、①コロンビアがレセップスの設立した新パナマ運河会社の運河建設権を米国に売却することを認めること、②運河地域の排他的管理権等を米国に付与すること、③米国は一時金1,000万ドル及び運河地域の年間使用料として25万ドルをコロンビアに支払うこと等を規定したヘイ・エルラン条約を結び、運河の管轄権を握ろうとしました。

 しかし、コロンビア議会が条約を批准しなかったため、同年11月3日、米国はコロンビアの支配に不満を持っていたパナマ住民を扇動して独立を宣言させます。こうして発足したパナマ共和国を、米国は10日後の11月13日に承認し、5日後の11月18日にはパナマ運河条約を締結。運河の建設権と関連地区の永久租借権などを取得し工事に着手しました。

 これを受けて1903年に工事が始まると、運河関連地区(いわゆるカナル・ゾーンです)では、1904年6月24日、アンコン、クリストバル、ガトゥン、クレブラ、ラ・ボカに郵便局を開設。パナマ切手および米本国の切手に“CANAL ZONE”または“CANAL ZONE PANAMA”の文字を加刷した切手を使用しました。

 その後、3億ドル以上の資金と10年の歳月を投入し、運河は1914年8月15日に開通。運河収入はパナマに帰属するものの、運河地帯の施政権と運河の管理権は米国に帰属することになりました。さらに、運河地帯両岸の永久租借地には米軍施設がおかれ、南米における米国の軍事拠点として機能していましたが、1960年代にパナマの民族主義が高まり、運河返還を求める声が強くなる中で、軍事クーデターによってオマル・トリホスが権力を掌握。これより運河返還をめぐる協議が開始され、1977年、カーター政権の時代に新パナマ運河条約が締結され、1999年末をもって、運河および運河地帯の施政権はパナマへ正式に返還されました。
 

 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 下記の通り、各地のよみうりカルチャーで公開講座を行います。ぜひ、ご参加ください。

・イスラムを知る―ISはなぜテロに走るのか
 よみうりカルチャー横浜 7/2(土) 13:00~14:30

・切手でたどる東京五輪とその時代
 よみうりカルチャー荻窪 7/9(土) 13:00~14:30

 詳細につきましては、それぞれの会場・時間をクリックしてご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。
スポンサーサイト

別窓 | パナマ | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< ポズナン暴動60年 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  世界の国々:ブラジル>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/