内藤陽介 Yosuke NAITO
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 全日展、本日最終日です!
2016-07-24 Sun 00:16
 はやいもので、22日から、東京・錦糸町のすみだ産業会館で開催中の全日本切手展2016(以下、全日展)は本日が最終日となりました。今回は、8月5日開幕のリオデジャネイロ五輪直前の開催ということで、会場内では“オリンピックとブラジル切手展”も併催しています。というわけで、きょうは入場券やポスターにも取り上げているこの切手について、この切手についてご紹介します。

      牛の目・30ヘアイス

 これは、1843年8月1日に発行されたブラジル最初の切手“牛の目”のうち、30ヘアイス切手です。

 1822年に独立したブラジルの郵便制度は、当初、ポルトガル植民地時代のものをそのまま継承していましたが、1829年、それまで州ごとに定められていた郵便規則が統合され、1831年以降、ブラジル国内の郵便料金は、2オイタバス(約7グラム)まで・15リーグ(約72キロ)までの書状は10ヘアイス、以後、2オイタバスごとないしは15リーグごとに10ヘアイスずつ比例計算で上がっていく体系に整理されました。

 ところで、当時のブラジルは、経済的には旧宗主国のポルトガルよりも、英国の影響下に置かれていましたが、その英国では、ウィリアム4世統治下の1833年8月以降、郵便改革が急速に進められ、1840年1月から、1/2オンス以下の書状基本料金を全国1律1ペニーとする統一1ペニー郵便がスタートし、同年5月には、新たな郵便の料金前納の証紙として世界最初の切手ペニー・ブラックが発行されていました。

 これを受けて、ブラジルでも、枢密顧問兼内務大臣のカンディド・ジョゼ・デ・アウラージョ・ヴィアンナを中心に、英国に倣って切手を用いた近代郵便制度の導入が準備されます。そして、1842年11月、ブラジルでも勅令によって、国内統一料金制を導入し、郵便料金前納の証紙として切手を発行することが決定されました。

 同年12月には、ブラジル造幣局が、英国でペニー・ブラックの製造を請け負ったパーキンス・ベーコン社に切手製造に必要な器具・機材を発注。翌1843年2月に機材が納入されるのを待って、切手の製造が開始されました。

 パーキンス・ベーコン社は、紙幣の背景などに使われる彩紋彫刻で、当時、世界最高の技術を誇っていましたから、ブラジル造幣局は同社の機材を用いることで、切手にも彩紋を取り入れて偽造対策としています。また、英国のペニー・ブラックはヴィクトリア女王の肖像を描いていましたが、ブラジルでは、君主の威厳を損なわないようにとの配慮から、切手には皇帝ドン・ペドロ2世の肖像はいれず、実用本位に額面数字を大きく入れることなりました。

 こうして、1843年8月1日、30ヘアイス、60ヘアイス、90ヘアイスの3種の切手が発行されました。

 これら3種の切手は、古くから切手収集家の間では“牛の目”のニックネームで親しまれており、しばしば、“切手の切手”の題材にもなっています。ただし、“牛の目”のニックネームは、もともとブラジル人がポルトガル語で命名したものではなく、英語で“Bull’s Eye”と呼ばれていたものの和訳です。

 英語の“Bull’s Eye”には、文字通りの“(動物の)牛の目玉”の他に、丸窓、半球レンズ、的の中心、白い筋のある黒くて硬いハッカ飴、などの意味がありますが、このうち、特に興味深いのは“的の中心”を意味するというもので、これは、英国で行われていた“牛攻め”に由来するといわれています。

 牛攻めというのは、闘犬を雄牛にけしかけて、その勝敗に金銭を賭けるという賭博で、1835年に禁止されるまで、英国では貴賤を問わず大いに人気を博した娯楽だった。人々は犬・牛のいずれに賭けるかを判断する場合に各々の動物の面構えをじっくり観察したが、牛に賭ける場合には“牛の目に賭ける”という表現が用いられていました。

 また、賭金としては、1クラウン、すなわり5シリング貨が多かったことから、いつしか、5シリング貨そのものを“牛の目”と呼ぶ俗称が生まれ、そこから、5シリング貨とほぼ同じ大きさの円形のものを“牛の目”と称する習慣があったといわれています。たしかに、ブラジル最初の切手は、19世紀の切手としてはかなりの大型で図案の中心は楕円形ですから、上述のようなバックグラウンドがあれば、英国人収集家がこれを“牛の目”と呼びたくなったというのも、十分に理解できます。

 さて、今回の全日展では、“オリンピックとブラジル切手展”の枠で、世界切手展で大金賞を受賞した正田幸弘さんのブラジル郵便史のコレクションが展示されています。ポルトガル植民地時代のスタンプレスカバーや、“牛の目”の使用例など、貴重なマテリアルが目白押しの見ごたえのあるコレクションですので、ぜひ、会場で実物をご覧いただけると幸いです。

 * 昨日の全日展会場でのトーク「リオデジャネイロ歴史紀行」は、無事、盛況のうちに終了いたしました。ご参加いただいた皆様には、この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。


 ★★★ 全日本切手展のご案内 ★★★

 7月22-24日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにオリンピックとブラジル切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページにて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展2016チラシ

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。クリックで拡大してご覧ください。


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