内藤陽介 Yosuke NAITO
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 教皇、アウシュヴィッツ訪問
2016-07-29 Fri 12:01
 世界中のカトリックの若者が集まる祭典“ワールドユースデー”に出席するため、ポーランドを訪問中の教皇フランチェスコ猊下は、きょう(29日)、オシフィエンチム(ドイツ語名:アウシュヴィッツ)の強制収容所跡を訪問します。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ポーランド・教皇アウシュヴィッツ訪問

 これは、1979年、教皇ヨハネパウロ2世のアウシュヴィッツ訪問を記念してポーランドが発行した切手です。

 ヨハネ・パウロ2世(本名カロル・ヴォイティワ)は1920年、クラクフ近郊のヴァドヴィツェ生まれ。第二次大戦以前はクラクフのユダヤ人社会に親しんでいたといわれています。

 第二次大戦中の1943年、聖職者として生きることを決意したものの、ドイツの占領下にあったポーランドでは神学校の運営が禁止されていたため、非合法の地下神学校で学び、解放後の1946年、司祭に叙階されました。

 1948年にローマで神学博士号を取得すると、ポーランドへ戻り、クラクフの教区司祭に就任。その後は一貫してクラクフ教区で活動を続け、1964年、パウロ6世によりクラクフ教区の大司教に任命されます。さらに、1967年には枢機卿に親任され、19781年、ポーランド人初のローマ教皇に選出されました。

 教皇就任後まもない1979年6月、ヨハネ・パウロ2世は祖国ポーランドを訪問します。

 1979年は、ポーランドおよびクラクフの守護聖人、聖スタニスワフが1079年にポーランド王ボレスワフ2世によって殺害され、殉教してから900周年という節目の年にあたっていました。

 スタニスワフは、グニェズノ聖堂でボレスワフ2世の戴冠式を司った後、ベネディクト会派修道院をポーランドに設置するよう王に働きかけたものの、土地をめぐる争いから王と対立し、王を破門。これに対して、ボレスワフ2世はスタニスワフをミサの途中で捕えて殺害しましたが、その非道な行為のゆえに臣民の反発を買い、ハンガリーに亡命せざるを得なくなりました。

 スタニスワフは1253年に列聖され、彼の聖遺物を祀るクラクフのヴァヴェル聖堂では歴代のポーランド王が戴冠式を行いました。20世紀に入ると、彼が亡くなったとされる5月8日には、クラクフ司教の先導により、彼にささげる礼拝行進が行われるようになります。第二次大戦後、クラクフ司教時代のヨハネ・パウロ2世はこの行事を大衆に普及させることに尽力しましたが、その背景には、スタニスワフを“道徳秩序の守護聖人”として、圧制者と戦った彼を称えることで、暗に、統一労働者党政権とその背後にいるソ連を批判する意図があったものとみられます。

 1979年6月のヨハネ・パウロ2世のお国入りは、そうしたスタニスワフの没後900年記念という名目で企画されたものであったため、当然のことながら、ポーランド国内のナショナリズムと反ソ感情させるという結果をもたらすことになりました。

 また、この時の祖国訪問では、教皇はビルケナウのアウシュヴィッツ第2収容所跡を訪れ、約50万人とともにミサを行い、強制収容所を「私たちの時代のゴルゴダ」と呼び、アウシュヴィッツで殉教したコルベ神父を称えるとともに、ビルケナウのガス室で殺害された修道女エーディト・シュタインについて列福のための調査を行う方針を明らかにしています。

 いずれにせよ、ヨハネ・パウロ2世のポーランド訪問は、彼の企図した通り、ポーランド国内のナショナリズムと反ソ感情させるという結果をもたらし、その流れは翌1980年の独立自主管理労働組合“連帯”の発足へとつながることになりました。

 このあたりの事情については、拙著『アウシュヴィッツの手紙』でもいろいろご説明をしておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 


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