内藤陽介 Yosuke NAITO
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 吉州郡宛のカバー
2016-09-10 Sat 11:32
 北朝鮮がきのう(9日)、同国北部の咸鏡北道吉州郡豊渓里で核実験を強行しました。北朝鮮の核実験は、2006年以降通算5回目、ことし(2015年)に入ってからは、1月に続いて2回目で、1年に2回の核実験は初めてのことです。というわけで、核実験場のある吉州郡にちなんで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      北朝鮮・共和国政府樹立(吉州宛カバー) 北朝鮮・吉州宛カバー(1949裏面)

 これは、1949年10月18日、咸鏡北道の鶴城郡鶴南面から吉州郡吉州面宛に差し出されたカバーとその裏面で、1948年9月19日に発行された朝鮮民主主義人民共和国政府創建の記念切手が2枚貼られています。裏面に押されている着印は、

 宛先の吉州郡は咸鏡北道南部の山岳地帯に位置しており、古代には高句麗と渤海の地であり、その後は長く女真族が居住していました。朝鮮の支配が確定したのは高麗末期のことで、吉州と命名されたのは高麗滅亡(1392年)直前の1390年のことでした。

 行政上の吉州郡が設けられたのは朝鮮王朝時代末期の1895年のことで、郡庁は吉城面に置かれました。その後、日本統治時代の1939年、郡内の吉城面と営北面が合併し、吉州邑が発足。1943年には、郡名が吉州郡から吉城郡に変更されたのに合わせて、吉州邑も吉城邑と改称されました。

 “解放”後の1946年、吉城郡が旧称の吉州郡に復し、吉城邑は吉州面となります。

 ちなみに、朝鮮の伝統的な地方行政区分では、面は邑は地方行政官の役所が置かれた土地で、郡はいくつかの集落や村落(里、統)を束ねた単位で、日本の行政単位の“村”にほぼ相当しています。日本統治時代は、面よりも人口の多い区域を邑として、日本の行政単位でいう“町”に相当する扱いでした。

 ソ連軍政時代を経て成立した朝鮮民主主義人民共和国も、基本的には、日本統治時代の行政区画に基づいて人民委員会を組織していましたが、朝鮮戦争下の1952年、区画再編を行って邑・面級の行政機関を廃止し、郡事務所が所在する面・里を“邑”と呼ぶようになります。これに伴い、旧吉州郡吉州面・長白面・徳山面・雄坪面および暘社面・東海面の各一部地域で構成される現吉州郡が成立し、郡事務所所在地の吉州面が吉州邑となりました。

 今回ご紹介のカバーは、1949年に吉州面の工業専門学校宛に差し出されたものですが、裏面の封の部分にはキリル文字が書かれていますので、差出人は、ソ連から帰国した朝鮮系の技術者だったのかもしれません。また、裏面に押されている着印は、局名表示こそ、“함북・길주(咸北・吉州)”と朝鮮語表記になっていますが、その下の部分は日本統治時代の消印の印顆がそのまま流用されています。(下に、着印部分をトリミングして載せておきます)

      北朝鮮・吉州着印(1949)

 北朝鮮の核・ミサイル開発については、以前から、朝鮮総連の傘下にある在日本朝鮮人科学技術協会(科協)に所属する大学・企業の研究者らが、朝鮮労働党の指示の下、「科学に国境はないが、科学者には祖国がある」として持ち出した先端技術が大きく“貢献”していることが指摘されています。もちろん、彼らは、表向き、そうした技術は軍事目的のものではないと主張しているわけですが、実際には、その転用・流用が現在の状況を招いたことは言うまでもありません。

 日本時代の印顆を流用した北朝鮮の消印は郵趣的には興味深いものですが、日本の技術を使った核開発というのは、実にけしからん話です。日本政府としても、抜本的な防止策をとっていただかないと困りますな。

 なお、今回ご紹介のカバーに貼られている切手や当時の状況については、拙著『朝鮮戦争』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


★★★ トークイヴェントのご案内 ★★★

 拙著『リオデジャネイロ歴史紀行』の刊行を記念して、東京・青山の駐日ブラジル大使館で下記の通り、トークイヴェントを開催いたします。ぜひ、ご参加ください。

 ・日時 2016年9月23日(金)18:00~20:00(17:30受付開始)
 ・会場 駐日ブラジル大使館 セミナー・ルーム
  〒107-8633 東京都港区北青山2丁目11-12 (地図はこちらをご覧ください)
 ・参加費 無料
 ・定員 30名(申込多数の場合は先着順)

  * 9月16日(金)までに、お名前・ご連絡先・ご所属を明記の上、電子メール、ファックス等で下記宛にお申し込みください。(お送りいただいた個人情報は、大使館へ提出する以外の目的には使用しません)
  申込先 えにし書房(担当・塚田)
  〒102-0074 千代田区九段南2-2-7-北の丸ビル3F
  Tel. 03-6261-4369 Fax. 03-6261-4379
  電子メール info★enishishobo.co.jp (スパム防止のため、★の部分を半角@に変えてご送信ください)

 なお、トークヴェベント終了後、20:30より近隣のブラジルレストラン「イグアス」にて懇親会を予定しております。(イグアスの地図はhttp://tabelog.com/tokyo/A1306/A130603/13048055/ をご覧ください) 
 会費は、『リオデジャネイロ歴史紀行』1冊の代金込みで6500円(書籍不要の場合は5000円)の予定です。参加ご希望の方は、トークイベントお申し込みの際に、その旨、お書き添えください。なお、懇親会のみの御参加も歓迎いたします。


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