内藤陽介 Yosuke NAITO
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 敬老の日
2016-09-19 Mon 12:13
 きょう(19日)は“敬老の日”です。というわけで、拙著『リオデジャネイロ歴史紀行』にちなんで、ブラジル切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      ブラジル・老人の日

 これは、1958年9月27日に発行された“老人の日”の切手で、砂時計の中に高齢の女性(上段)と男性(下段)を配したデザインとなっています。

 ブラジルの平均寿命は、1950年台前半には50.9歳でしたが、その後、着実な伸びを示し、2000年代前半では71.0歳に達し、2040年代後半で79.5歳になると推測されています。これに伴い、高齢者の人口も、1950年には161万人だった60歳以上の人口が、2007年には2000万人にまで急増。さらに、2050年には4928万人(100年間で30.60倍)にまで上昇すると推測されています。

 一方、年少人口比率は、ピーク時の1965年の44%をピークに1975年までは40%を超えていましたが、その後、徐々に減少して、2000年には29.6%となり、2040年代後半には18%前後にまで落ち込むことが予測されています。ただし、人口の絶対数でいうと、年少者人口のピークは1990年の5278万人で、これが2050年には4487万人にまで減少する見込みです。ただし、この数字は、1950年の年少人口、2243万人の約2倍ですから、人口問題としては、少子化よりも高齢化の方がはるかに深刻ということになります。

 このため、2010年に7%に到達したブラジルの高齢化率(全人口のうち、65歳以上の人口が占める割合)は、2031年には倍の14%になるものと推計されていますが、フランスの高齢化率が7%から14%になるまでに115年かかったのに比べると、かなりな急ペースです。ちなみに、わが国では同様のプロセスは26年で起きていますから、ブラジルの高齢化は日本のイメージでとらえると理解しやすいかもしれません。

 ところで、ブラジル社会では家父長的な慣行が尊重されてきたという経緯がありますが、民政移管後の1988年の連邦共和国憲法でも、たとえば、第230条では、政府にはブラジル高齢者(ブラジルの基準では60歳以上)の“威厳”を守る義務があるとされ、高齢者には公共交通機関が無料で解放される(このため、ポン・ヂ・アスーカルのロープウェイも60歳以上は無料です)ことになっています。

 さらに、2000年には金融機関と政府機関に対して高齢者に“即時”かつ“特別”な配慮を払うことを命じる連邦法(違反者には最大2500ヘアイスの罰金)が成立。2003年には、その対象が民間企業に対しても拡大されたため、多くの施設では高齢者向けの“優先窓口”が儲けられるようになりました。

 ところが、高齢者の急増に伴い、一般の窓口よりも高齢者向けの優先窓口の方に長蛇の列ができるという逆転現象がしばしば発生。このため、2014年、東部セアラー州の州都・フォルタレザでは、高齢者や障碍者は、どこでも、どの列にも割り込めるという条例が可決され、高齢者による行列の割り込みが“合法化”されました。

 当然のことながら、高齢者がこの条例を歓迎する一方、一般消費者の間からは批判の声も強く(ウォール・ストリート・ジャーナル紙には「(年齢にかかわらず、病人や体の弱い人に優先的な処遇を与えるのには賛成だが)髪を染めて、ポケットにバイアグラを詰め込んだような“高齢者”が列に割り込むと腹が立つ」という声が紹介されています)、また、こうした権利を濫用する高齢者も後を絶たないようです。

 いずれにせよ、今回ご紹介の切手が発行された1950年代のように、ブラジル社会において高齢者がごく少数派であった時代なら、“割り込み”の合法化にも問題はなかったのでしょうが、上述のように、急激な高齢化が進み、高齢者が決して少数派ではなくなってくると、さて、どうでしょうかねぇ。“割り込み”の合法化はお金のかからない政策なのでよいことじゃないかという人もあるかもしれませんが、結果として高齢者に対する社会的な不満が鬱積して、“ただほど高いものはない”ということになってしまったら、高齢者の威厳も損なわれてしまい、元も子もないような気がします。
 

★★★ トークイヴェントのご案内 ★★★

 拙著『リオデジャネイロ歴史紀行』の刊行を記念して、東京・青山の駐日ブラジル大使館で下記の通り、トークイヴェントを開催いたします。ぜひ、ご参加ください。

 ・日時 2016年9月23日(金)18:00~20:00(17:30受付開始)
 ・会場 駐日ブラジル大使館 セミナー・ルーム
  〒107-8633 東京都港区北青山2丁目11-12 (地図はこちらをご覧ください)
 ・参加費 無料
 ・定員 30名(申込多数の場合は先着順)

  * 9月19日(月)までに、お名前・ご連絡先・ご所属を明記の上、電子メール、ファックス等で下記宛にお申し込みください。(お送りいただいた個人情報は、大使館へ提出する以外の目的には使用しません)
  申込先 えにし書房(担当・塚田)
  〒102-0074 千代田区九段南2-2-7-北の丸ビル3F
  Tel. 03-6261-4369 Fax. 03-6261-4379
  電子メール info★enishishobo.co.jp (スパム防止のため、★の部分を半角@に変えてご送信ください)

 なお、トークヴェベント終了後、20:30より近隣のブラジルレストラン「イグアス」にて懇親会を予定しております。(イグアスの地図はhttp://tabelog.com/tokyo/A1306/A130603/13048055/ をご覧ください) 
 会費は、『リオデジャネイロ歴史紀行』1冊の代金込みで6500円(書籍不要の場合は5000円)の予定です。参加ご希望の方は、トークイベントお申し込みの際に、その旨、お書き添えください。なお、懇親会のみの御参加も歓迎いたします。


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       リオデジャネイロ歴史紀行(書影) 2700円+税

 【出版元より】
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 発売元の特設サイトはこちらです。

 * 8月6日付『東京新聞』「この人」欄で、内藤が『リオデジャネイロ歴史紀行』の著者として取り上げられました!

       リオデジャネイロ歴史紀行(東京新聞)


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