内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手に見るソウルと韓国:韓進海運
2016-09-27 Tue 18:06
 ご報告が遅くなりましたが、 『東洋経済日報』9月16日号が発行されました。僕の月一連載「切手に見るソウルと韓国」は、今回は、世界的な大手海運会社の韓進海運が経営破綻した直後の号だったので、この切手をご紹介しました。(画像はクリックで拡大されます)

      韓進コンテナ

 今年(2016年)8月31日に経営破綻した韓進海運が属する韓進グループは、解放後まもない1945年11月1日、趙重勲が仁川で設立した韓進商事から出発しました。1956年には在韓米軍の輸送業務を請け負うようになり、ヴェトナム戦争中の1966年にはヴェトナムに派遣される米軍の現地での物資輸送を請け負う契約を結び、急成長を遂げます。

 その躍進ぶりに目を付けた朴正熙は、1969年、経営不振に陥っていた大韓航空公社の民営化を趙重勲に委ね、現在の大韓航空が誕生しました。

 そして、同年11月、韓進は米国の海運会社シーランド社と、シーランドのコンテナ船のためのコンテナターミナルの運営契約を結び、翌1970年9月、釜山港にコンテナ埠頭を開業させてコンテナ業務に参入します。

 当初、韓進はシーランドをはじめとする海外の船会社の荷役作業を行っていましたが、1977年には、韓進コンテナラインズを設立して、自らも海運業へと参入し、韓進グループは陸・海・空の総合物流企業となりました。その後、韓進コンテナラインズは、1978年に中東航路、1979年に北米西岸航路を開設し、グローバル海運会社に成長します。

 1981年5月10日に韓国で発行された“船舶シリーズ”の切手には、その開業当時のコンテナ船“韓進ソウル”号が取り上げられています。なお、切手には“コンテナ船”としか表示されておらず、具体的な船名は記されていませんが、船の形状などから、韓進ソウル号が描かれていると特定することが可能です。

 韓進ソウル号は、現代重工業の蔚山造船所で1977年12月15日に起工し、翌1978年12月24日に進水。完成して、韓進側に引き渡されたのは1979年2月15日のことでした。

 全長201m、幅24mで、総トン数は1万7088 t、載貨重量トン数は1万8835 t。2007年にMSCソウル号と改称され、現在でもキプロスに船籍を置いて、リマソール(キプロス)を母港として運航を続けています。

 ソウル五輪が開催された1988年、韓進コンテナラインズは、大韓商船を合併して現在の韓進海運が誕生。これにより、韓進は、名実ともに韓国海運業の頂点に立ちます。

 もともと、韓国の海運業は、1948年の大韓民国独立に伴い、米軍政下で接収された旧日本船と米国から無償供与・貸与された船舶をもとに、国営事業としてスタートしました。1950年1月、韓国政府は海運民営化の方針を決定し、特別法により大韓海運公社(大韓船洲)を設立し、公社が政府保有船をひきとる形式となりましたが、公社の株式の97%は韓国政府が直接・間接に保有していたので、事実上の国営体制に変化はありませんでした。

 その後も韓進が本格的に海運業に参入するまで、韓国の海運事業は公社による事実上の独占体制が続いていましたが、さすがに、1980年代に入ると、海運業を取り巻く環境の変化もあり、公社の経営は悪化。1984年には大韓商船に改称・改組して再建を図ったが、最終的に韓進と合併したというわけです。

 1990年代から2000年代にかけて、韓進海運の業績は順調に推移し、1992年に売上高1兆ウォンを超え、1995年に巨洋海運、1997年に独セネターラインズを買収し、欧州・中国などに領域を拡大。2003年には中国コスコ、台湾陽明、日本Kラインなどと同盟を結成し、グローバルコンテナ船社としての地位を確立しました。

 しかし、2002年に創業者の趙重勲が、2006年には趙重勲の3男で2代目会長となった趙秀鎬が相次いで亡くなり、趙秀鎬夫人の崔恩瑛前会長が経営の一線に登場してきたあたりから雲行きが怪しくなってきます。

 特に、2008年の世界金融危機で世界的に海運業が停滞する中で、韓進海運は流動性の高い資産を次々と切り売りした結果、流動性危機が深刻化。2013年に2423億ウォンの営業損失を出すなど3年連続の赤字で危機を迎えたため、2014年からは韓進グループの趙亮鎬会長が2年間に1兆2000億ウォンを支援していました。たが、海運業不況の長期化と好況期に借りた高い傭船料、船舶金融費用などで、2015年末に連結基準で847%だった負債比率は今年6月には1076%に上昇。8月末、ついに、日本の会社更生法に相当する“法定管理”の手続き開始をソウル中央地裁に申請し、経営破綻に陥ったというわけです。


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