内藤陽介 Yosuke NAITO
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 泰国郵便学(45)
2016-10-28 Fri 11:54
 ご報告が大変遅くなりましたが、財団法人・日本タイ協会発行の『タイ国情報』第50巻第5号ができあがりました。そこで、僕の連載「泰国郵便学」の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      タイのヴィーナス

 これは、1974年9月19日に発行された“国立博物館100周年”の記念切手のうち、“タイのヴィーナス”として知られる観音菩薩像を取り上げた2.75バーツ切手です。ついでですので、以前、バンコク国立博物館を参観した際に、撮影した“タイのヴィーナス”の実物の写真も下に貼っておきます。

      タイのヴィーナス(実物)

 タイにおける博物館の歴史は、1859年、国王ラーマ4世が王宮内に自分への贈物を1ヵ所にまとめて収蔵したのが起源とされています。ただし、ラーマ4世の時代の収蔵施設は、プライベート・コレクションとしての性質が強く、一般公開を前提とした現在の博物館とはかなり趣が異なるものでした。

 これに対して、ラーマ4世崩御後の1874年、ラーマ5世は、父王の御物や一般の関心を集めそうな品々を展示・公開するための施設として、王宮内のサハタイ・サマコム館を利用して博物館を創設することとし、9月19日に博物館としての開館記念式典を行いました。現在のタイでは、これをもって、国立博物館の開館としており、今回ご紹介の切手もここから起算して100周年にあわせて発行されました。

 その後、展示施設が手狭になったため、1887年、ラーマ5世はサハタイ・サマコム館から副王宮殿(ワンナー)の礼拝堂として用いられていた建物に所蔵品を移すように命令。この施設は、当初、ワンナー博物館と呼ばれていましたが、1926年にバンコク博物館と改称され、1934年、文化省芸術局の管轄に置かれてバンコク国立博物館として拡充され、現在に至っています。

 なお、現在、タイの“国立博物館”は、バンコク国立博物館、バンコク国立美術館、王室御座船国立博物館、シン・ピーラシー記念国立博物館、王室象国立博物館、ガーンチャナーピセーク国立博物館の6中核組織を含め、バンコクなど中部に21、チェンマイなど北部に8、スリンなど東北部に7、プーケットなど南部に7の施設があり、文化省芸術局国立博物館部によって運営が担われています。

 切手に取り上げられた“タイのヴィーナス”は、バンコク国立美術館の至宝にして、シュリーヴィジャヤ美術の傑作とされている観音菩薩像(8世紀ごろ)です。

 シュリーヴィジャヤは、7世紀後半から14世紀後半にかけて、現在のインドネシアからマレーシア、タイ南部にいたる広大な地域を支配していた王朝で、その首都が置かれていたスマトラ島のパレンバンは、東西交易で大いに繁栄し、学芸の中心地でもありました。中国大陸からインドへ留学する僧侶はインドへ渡る前に、パレンバンでサンスクリットの語学研修を行ったともいわれています。

 1025年、シュリーヴィジャヤ王国は南インドを支配していたチョーラ朝のラージェンドラ1世の攻撃を受け、以後、次第に衰退。その後、1080年頃まではパレンバンを首都としていたものの、その後は首都がどこにおかれていたかは定かではありません。ただし、後期においては、出土する遺品・美術品の分布から、タイ南部のチャイヤーを拠点としていたとする説が有力で、“タイのヴィーナス”と呼ばれる観音菩薩像もチャイヤーから出土したものです。

 なお、バンコク国立博物館の宝物については、拙著『タイ三都周郵記』でもご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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 10月29日(土) 13:45-15:15 ヴィジュアルメディアから歴史を読み解く

 本とアートの産直市@高円寺フェス2016内・会場イヴェントスペースにて、長谷川怜・広中一成両氏と3人で、トークイヴェントをやります。入場無料ですので、よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。(本とアートの産直市@高円寺については、主催者HPをご覧ください)


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 11月17日(木) 10:30-12:00 
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