内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手に見るソウルと韓国:スケトウダラ
2016-11-16 Wed 10:21
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、『東洋経済日報』10月21日号が発行されました。僕の月一連載「切手に見るソウルと韓国」は、今回は、毎年恒例の“統一高城スケトウダラ祭り”(10月20-23日に開催)の会期中の号でしたので、この切手をご紹介しました。(画像はクリックで拡大されます)

      韓国・スケトウダラ(シート)

 これは、1966年に発行された動物シリーズの切手のうち、スケトウダラの切手(の小型シート)です。

 さて、ことし10月11日、韓国の海洋水産部は、世界で初めてスケトウダラの完全養殖技術の開発に成功したと発表しました。

 スケトウダラは韓国の伝統料理には欠かすことのできない食材で、プゴ(北魚)、ソンテ(鮮太)、マンテ(網太)、カンテ(江手、杆太)などとも呼ばれますが、一般にはミョンテ(明太)の名で知られています。ちなみに、今回ご紹介の切手でも、しっかりと“명태(ミョンテ)”の文字が入っています。

 ミョンテという名前の由来には諸説がありますが、朝鮮王朝時代に、咸鏡北道南部、明川の太という漁師が獲った魚ということで、明太の字を当ててミョンテと呼ばれるようになったと説明されることが多いようです。この明太が、中国に入って“ミンタイユー(ユーは魚)”と呼ばれ、日本語のメンタイとなったと考えられています。ちなみに、わが国の中国地方から九州にかけての地域ではスケトウダラをメンタイと呼び、明太子は一般的なタラコのことですが、全国的には、明太子といえば辛子明太子を指すのが一般的です。ただし、日本の辛子明太子に近いものとされる韓国の“明卵漬(ミョンナンジョ)”は、タラコをトウガラシとニンニクに漬け込んだもので、日本の辛子明太子とはかなり味わいが違います。

 韓国では、年間25万トンのスケトウダラが消費されていますが、これは、海産物の中ではトップで、韓国料理でのスケトウダラの利用法も、焼き物、煮込み、チゲ、チムなど多岐にわたっています。日本でも、一時期、美肌によいとしてプゴク(干しスケトウダラのスープ)が注目されたことは記憶に新しいところです。

 このように、韓国の国民魚ともいうべきスケトウダラですが、近年、韓国近海で獲れるものはほとんどなく、大半はロシアなどからの輸入に頼るという状況が続いていました。

 これは、1970年代、急激な経済成長と人口の増加に対応して、ノガリ(スケトウダラの幼魚)漁が解禁されたため乱獲が進んだことが大きいと考えられています。具体的な数字で見てみると、1980年代には7万4000トンあった韓国近海でのスケトウダラの漁獲高は、2000年代中盤には100トン未満にまで落ち込み、2007年以降は1-2トンと急落しています。

 こうした状況に危機感を抱いた海洋水産部は、2014年、スケトウダラ復活のためのプロジェクトを開始。国立水産科学院東海水産研究所などが、天然スケトウダラの母魚1尾から受精卵53万個を確保して幼魚を育て、昨年12月、20センチ程度に成長したスケトウダラのうち200尾余を選別して、35センチの母魚に育てました。

 そのうち7尾が今年(2016年)の9月18日に産卵に成功。受精卵10万個余のうち、3万尾余が0.7センチに成長したところで、「スケトウダラの完全養殖に成功」と発表したわけです。その過程で、スケトウダラの生育に適した水温が10度であることが明らかになり、この温度にあわせて餌となる動物性プランクトンが開発されるなど、養殖のための環境が整えられ、その結果として、自然界では3年かかるスケトウダラの成熟期間も1年8ヶ月に短縮できたそうです。

 また、海洋水産部は養殖とは別に20センチに育ったスケトウダラ1万5000尾を江原道高城近海に放流し、天然スケトウダラの生態系を回復することも計画しているとか。

 高城といえば、毎年10月には“統一高城スケトウダラ祭り”が開催される場所としても知られています。

 スケトウダラ祭りは1999年から始まり、今年で18回目となりますが、祭りの始まった時期は韓国近海でのスケトウダラの漁獲高が急減していった時期と重なっており、これまで、祭りで供されるスケトウダラはロシア産でした。

 海洋水産部の計画では、2017年にスケトウダラの稚魚を大量生産するための施設を作り、早ければ、2018年以降、スケトウダラの本格的な養殖生産に乗り出すということなので、数年後のスケトウダラ祭りには韓国産のスケトウダラが登場することになると期待されています。

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