内藤陽介 Yosuke NAITO
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 南大河州のワイン
2016-11-17 Thu 10:39
 きょう(17日)は11月の第3木曜日。いわずと知れたボジョレー・ヌーボーの解禁日です。というわけで、毎年恒例、ワインがらみの切手の中から、この1枚です。

      ブラジル・リオグランデドスルへのイタリア移民75年

 これは、1950年3月15日にブラジルで発行された“リオグランデ・ド・スル州(南大河州)へのイタリア移民75周年”の記念切手で、同州のワイン産業の象徴としてブドウが描かれています。

 ブラジルは国土の大半が高温多湿の地域にあるため、ブドウ畑の大半では食用ブドウの生産が行われていますが、赤道から外れた最南端のリオグランデ・ド・スル州、特に、アルゼンチンとの国境にも近い高地のセラ・ガウチャ地域は国内のワイン生産の中心地となっています。

 リオグランデ・ド・スル州におけるブドウの栽培は、1626年、イエズス会がスペインのブドウ木を持ち込んだのが最初と言われています。18世紀には、アゾレス諸島出身の入植者が、マデイラ諸島とアゾレス諸島からブドウの切穂を持ちこんでいます。

 こうした経緯を経て、1875年、イタリア有数のワインの生産地であるヴェネト州からの移民がリオグランデ・ド・スル州に入植。今回ご紹介の切手は、ここから起算して75周年になるのを記念して発行されたものです。

 リオグランデ・ド・スル州のイタリア移民は、20世紀に入ると、セラ・ガウチャ地域で相次いでワイナリーを開業しました。その代表的な例としては、モナコ(1908年開業)、サルトン(1910年開業)、ドレヘル(1910年開業)、アルマンド・ペテロンゴ(1915年開業)などがあります。ただし、1970年代までのブラジル・ワイン生産は質より量を重視しており、ブレンド用に使われることが多かったため、世界的にはほとんど無視されていました。

 これに対して、1973年、隣国ウルグアイの名門ワイン農家、カルラウ家がセラ・ガウチャで生産した「シャトー・ラカヴェ」を発売したことで、ブラジル・ワインの評価が見直されるようになり、翌1974年には、米仏伊加の4ヵ国のワイン企業(その中には、かのモエ・エ・シャンドンも含まれています)がリオグランデ・ド・スル州にワイナリーを開設し、ヨーロッパ種のブドウを本格的に移植。以後、ブラジル・ワインは輸出に耐えうる品質へと成長していくことになります。

 僕の個人的なブラジルとワインの体験といえば、リオデジャネイロの中心部、プリメイロ・デ・マルソ(3月1日)通りの旧中央郵便局の向かい側にあった1924年創業という酒屋、リダドールの店頭の一番目立つ場所にはワインが並べられていたことを思い出します。(下の画像)

      リダドール

 リダドールの前からプリメイロ・デ・マルソ(3月1日)通りを南に少し行ったところには、リオデジャネイロ州の立法議会議事堂がありますが、この場所は、もともと、ブラジル独立の志士、チラデンチスが囚われていた牢獄がありました。議事堂が、現在でも、チラデンチス宮殿と呼ばれているのはこのためです。

 チラデンチスは、1789年の蜂起の前に「独立の乾杯はポルトガル・ワインでなく、我々のカシャッサだ」と誓い合ったというエピソードがあり、それ以来、カシャッサはブラジル(の独立)を象徴する酒として、ブラジル人の誇りとなっています。酒屋のリダドールがオープンした1924年には、まだ、現在のチラデンチス宮殿とチラデンチス像はプリメイロ・デ・マルソ通りにはなかったと言えばそれまでなのですが、この地で息絶えたチラデンチスにしてみれば、やはり、店先にはワインではなく、カシャッサを置いてほしかったんじゃないだろうかと、ついつい、思ってしまいました。

 まぁ、僕の場合は、拙著『リオデジャネイロ歴史紀行』が重版になって、その祝杯を挙げる日が来たら、ワインでもカシャッサでも、どちらでも喜んでいただきますが…(笑。


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 * 8月6日付『東京新聞』「この人」欄で、内藤が『リオデジャネイロ歴史紀行』の著者として取り上げられました!

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