内藤陽介 Yosuke NAITO
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 すみだ北斎美術館オープン
2016-11-22 Tue 14:35
 葛飾北斎の作品を集めた“すみだ北斎美術館”が、きょう(22日)、東京・両国で開館しました。というわけで、今日は“北斎”にちなんで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      北斎百年祭  北斎美術館

 これは、1948年4月18日に発行された“北斎百年祭”の記念小型シートです。ついでですので、隣には、きょうオープンの美術館の建物写真もアップしておきました。

 浮世絵の巨匠・葛飾北斎(以下、北斎)は、宝暦10年9月23日(1760年10月31日)、江戸本所に生まれました。20代から嘉永2年4月18日(1849年5月10日)に90歳で亡くなるまで、春朗、宗理、北斎、戴斗、為一、卍などの画号を用いて風景画のみならずさまざまなジャンルで膨大な数の作品を残しています。

 北斎とは日蓮宗の妙見(北斗七星)信仰に基づく号で、当初、北斎は北斗七星を意味する北辰にちなみ、「北斎辰政」と名乗っていました。また、実際に北斎の号を用いたのは文化2(1805)年から5年ほどの期間だけでしたが、後々まで「北斎改め戴斗」「北斎改め為一」などとこの号を部分的に使用していたため、この名が一般に定着したといわれています。

 文政6(1823)年に制作が始まり、天保2(1831年)年に初版が開版、同4(1833年)年に完結した『富嶽三十六景』は、70歳代前半に出版された作品で、版元は永寿堂西村屋与八。当初は表題の通り、主版の36枚で終結する予定でしたが、作品が人気を集めたため追加で10枚(“裏富士”と呼ばれる)が発表され、計46枚になりました。このうち、「神奈川沖浪裏」は、ゴッホが激賞し、印象派の画家たちに絶大な影響を与えたほか、そこから発想を得たドビュッシーが交響詩『海』を作曲するなど、その後の西欧の芸術家に大きなインパクトを与えたことでも知られています。

 1948年は、この北斎の100年祭(没後100年目)にあたっており、4月18日の祭典を中心に、上野(東京)の国立博物館をはじめ、日本橋(東京)の三越・高島屋両百貨店、鎌倉など、全国8ヶ所で記念展覧会が開催されました。

 “北斎百年祭”の記念展覧会開催にあわせて、上野の国立博物館長は逓信省に記念切手の発行を申請。申請を受けた逓信省は、前年(1947年)発行の「切手趣味の週間(以下、趣味週間)」小型シートが北斎の「山下白雨」を図案とする1円切手5枚を組み合わせたものであることに目をつけ、三島展の例にならい、売れ残り小型シートに記念文字を加刷したものを百年祭当日の4月18日に発行することにしました。

 その背景には、当時の逓信省にとって、趣味週間小型シートの在庫問題はきわめて憂慮すべき事態となってたという事情がありました。すなわち、今回ご紹介の小型シート発行前日(1948年4月17日)の時点で、昭和22年度発行の記念・特殊切手のうち、売捌率が6割を切っているのは趣味週間の小型シートのみで、切手(小型シート)の売れ残り在庫の実数で見ても、100万枚以上の売れ残りがあるのは、趣味週間の小型シート以外には、1000万枚発行された日本国憲法施行の記念切手共同募金の慈善切手のみでした。

 このように、このため、国立博物館からの北斎記念展への記念切手発行の申請は、大量の不良在庫を抱えていた逓信省にとって、趣味週間の小型シートを処理する上で格好の機会ととらえられたのでした。

 ちなみに、逓信省は、「北斎百年祭」の小型シートは“時間上の制約”ゆえにオリジナル・デザインを製作する余裕がなく、趣味週間小型シートへの加刷に終わったと説明しています。また、季節をあらわす花の部分は、11月に発行された趣味週間小型シートの菊がそのまま活用され、加刷は行われませんでしたが、この点に関して、逓信省は、「北斎は菊の花を描くのを得意としていた」と苦しい説明をしています。なお、今回の小型シートの加刷文字は逓信省の加曾利鼎造がデザインし、印刷は東京の共同印刷で行われました。

 切手の発行数は12万3600枚で、記念展の会場(下谷局の臨時出張所)、下谷局、日本橋局(三越および高島屋で展覧会開催のため)、鎌倉局(展覧会開催地)の各局で発売されました。

 このうち、記念展の会場となった東京・上野の国立博物館には、2階ホールに下谷郵便局の臨時出張所が設置されましたが、初日のオープン前には大行列ができて一般の参観者の交通に支障が出るほどでした。この行列は、10時過ぎには100人以上に増え、館外にはみ出すほどになったため、当初は1人30枚まで、途中から1人10枚までの制限発売が行われています。

 もっとも、彼らの多くは小型シートを求めて記念押印を済ませると、肝心の展覧会にはほとんど目もくれずにそそくさと帰っていったようで、博物館の守衛が「この位熱心に浮世絵みてくれゝればよいのですがね」と嘆いていたとの報告があります。

 また、三越と高島屋で記念展が開かれる関係で小型シートを引き受けた日本橋局では、初日の18日が三越の定休日にあたっていたため、同日のシート発売を見合わせていましたが、集まった収集家から非難を浴びたため売り出したところ、即日完売になるなど、切手そのもの人気は高かったようです。

 *オマケ

      北斎美術館ちらし(1)  北斎美術館ちらし(2)

 我が家の郵便ポストに、すみだ北斎美術館の開館記念のチラシが入っていましたので、ついでにアップしておきます。左側が、開館そのものの周知、右側は開館記念イベントを周知するためのものです。


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