内藤陽介 Yosuke NAITO
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 キリンが絶滅危惧種に
2016-12-09 Fri 12:53
 国際自然保護連合(IUCN、本部・スイス)は、きのう(8日)、絶滅の恐れがある動植物を記載した「レッドリスト」の最新版を発表しましたが、その中で、キリンが新たに絶滅危惧種として指定されました。農業や鉱業開発で生息する場所の環境が破壊されたり、密猟されたりして、過去30年間でキリンの個体数は4割減少したそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ニヤサ(1901.キリン)

 これは、1901年、ポルトガル領東アフリカ(現モザンビーク)のニヤサ(ニアサとも)会社領が発行した切手で、キリンを描く切手としては世界最初の1点とされています。

 現在のモザンビーク国家に相当する領域は、16世紀末のヴァスコ・ダ・ガマの航海以来、喜望峰経由でインドへ進出したポルトガルが中継地として確保したていましたが、ポルトガル人は、ながらく沿岸部に拠点を築くだけで、内陸部は放置していました。

 1822年、ポルトガルにとってドル箱の植民地だったブラジルが独立すると、ポルトガル国内では政治の混乱が続き、経済も低迷。国家財政も急速に悪化し、ポルトガルは鉄道や鉱山の利権を担保に英国から借金を重ねて行きました。

 こうした状況の中で、19世紀後半、列強諸国によるアフリカ分割の過程で、ポルトガルはモザンビークとアンゴラを横断する“バラ色地図計画”を発表したものの、1890年には英国の圧力で現在のザンビア、ジンバブエ、マラウイに相当する地域の領有を断念し、1891年の条約で“ポルトガル領東アフリカ”の領域が確定されました。これが、現在のモザンビークの領域となります。なお、同じく1891年にはポルトガルは英仏資本の勅許会社、モザンビーク会社とニアサ会社に対して、ポルトガルの植民地政庁に対して、裁判所の運営経費や宗教活動への援助を負担する代償として、司法権を除く各種の権利(警察権や徴税権、通貨発行権や郵便事業、鉄道建設、鉱山開発、農場経営などの権利)開発を与えました。

 このうち、ニアサ会社が行政権を掌握していたのは、モザンビーク北部、ドイツ領東アフリカ(現タンザニア)との国境に接するの20万平方キロの地域です。ちなみに、英国は、ポルトガルがさらなる借款を申し込んできた際には、英独でポルトガル領モザンビークを南北に分割・領有する密約を1898年にドイツと結んでいましたが、翌1899年にボーア戦争が勃発すると、英国は、ポルトガル領内における英軍の通行券と引き換えに、ポルトガル領の保全を約束したため、ニアサ会社の領域が英領に組み込まれることはありませんでした。

 さて、ニアサ会社では、1895年、域内の郵便事業を展開するため、英国製の切手(額面合計で約1億5800ヘアイス相当)を準備しました。しかし、英葡間の協定では、同社が支配地域で郵便事業を展開する場合には、ポルトガル製の切手を使用しなければならないとの条項があったため、ポルトガル側は英国製の切手の使用を認めず、これらの切手は廃棄されています。

 ニヤサ会社領としての最初の切手は、1898年、ポルトガル領モザンビーク切手に“NYASSA”と加刷して発行されました。その後、切手に関して英葡間の妥協が成立し、ポルトガル国王カルロス1世の肖像を入れるという条件で、ロバート・エッジカンブが原画を制作し、ロンドンのウォータールー&サン社で印刷した英国製の切手が、1901年から発行されました。今回ご紹介の切手はそのうちの1枚で、同時に発行された13種の切手のうち、50ヘアイス以下の低額面がキリン、75ヘアイス以上の高額面が駱駝のデザインとなっています。

 
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