内藤陽介 Yosuke NAITO
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 国旗を足元に置くべからず
2017-01-12 Thu 12:50
 アマゾン・ドット・コムのカナダのウェブサイトで、インド国旗をデザインした玄関マットが販売されていた問題で、同社は、きのう(11日)までに、インド政府の抗議を受けて、問題の商品の販売を中止しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      インド・独立記念切手(国旗)

 これは、1947年11月21日にはインドが発行した独立記念切手のうち、インド国旗を取り上げた3アンナ半の切手です。インドの独立は、今回ご紹介の切手にも表示されているように1947年8月15日ですが、記念切手の制作は正式独立を受けてからのことでしたので、発行日は11月21日までずれ込んでいます。なお、3アンナ半という額面は外信用の基本料金に相当しており、新生インドの国旗を広く国際社会に周知したいという意図を込めて、このデザインが選ばれたのではないかと考えられます。

 さて、現在のインド国旗は、1921年、マハトマ・ガンディーがインド国民会議に対して“スワラージ(民族自決・自治獲得)運動”の象徴として提案したデザインが元になっています。ガンディーの提案したデザインは、白・緑・赤のストライプにインドの伝統的な糸車を配したものでした。糸車は、英国の機械文明に対抗する意図を示すものとして、ガンディーらの主導したスワラージや英貨排斥・スワデーシー(国産品愛用)の象徴として用いられていたものです。これをもとに、1931年、国民会議は、現在のインド国旗と同じサフラン・白・緑のストライプに、青の糸車を配したデザインのスワラージ旗を制定します。

 1947年8月の独立を前に、同年6月23日、ラージェーンドラ・プラサード、 アブル・カラーム・アーザード、チャクラバルティー・ラージャゴーパーラーチャーリー、ビームラーオ・アンベードカルらの国旗制定委員会はスワラージ旗を元にした新国旗を策定。その際、国旗のシンボルは特定の共同体や運動を代表するものであってはならないという判断により、糸車のかわりに仏教のダルマ(法)を意味するアショーカ・チャクラ(法輪)を配したデザインが提案されます。

 これに対して、当初、ガンディーは新国旗でもスワラージ旗の糸車を継承することを主張していましたが、最終的に、国旗制定委員会の案を受け入れ、7月22日、制憲議会で原稿のインド国旗が満場一致で採用されました。ちなみに、国旗の3色のうち、サフランはヒンドゥー、緑はイスラム教、白は両宗教の和解とその他の宗教を表しています。

 さて、今回問題となった玄関マットについては、以下のような魚拓画像がネット上に残されていました。

      インド・国旗デザインの玄関マット
 
 日本の一部報道では“インド国旗に類似した模様の玄関マット”と説明されていましたが、商品の説明には、しっかり“Indian flag”と記されています。

 この玄関マットが販売されていることが明らかになると、インドのスワラジ外相はツイッターで「アマゾンは無条件で謝罪しなくてはならない。わが国の国旗を侮辱する全製品を直ちに撤去すべきだ」と抗議し、「これが即座に行われなければ、アマゾン関係者には一切ヴィザを発給しない。またこれまでに発給したヴィザも取り消す」と発言しました。国旗を踏みつけるということは、それ自体、どこの国でも非礼な行為ですが、特に、インドでは足は左手とともに不浄なものとされており、靴や足が他人に触れることもタブーとされています。そういう文化的背景を考えると、外相の怒りも(少なくともインド社会においては)至極当然のことです。

 そういうインド国民やスワラジ外相からすると、ソウルでしばしば行われる反日デモで日章旗が踏みつけられたり、北京の“中国人民抗日戦争記念館”ではガラス張りの床の下に日章旗を埋め込み、参観者は日章旗を踏みつけなければ一巡できない構造となっていることが報じられても、われらが日本政府は、さしたる抗議もせず、これを事実上黙認しているようにも見える事態は、明らかに異常なものと映るんでしょうね。情けない限りです。


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