内藤陽介 Yosuke NAITO
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 きょうからJTPC展です
2017-01-20 Fri 10:29
 きょう(20日)から、東京・目白の切手の博物館で第8回テーマティク出品者の会(JTPC:Japan Thematic Philatelists Club)の切手展がスタートします。今回は、地図の歴史を題材とした作品を御出品の西海隆夫さんの御尽力で、きょう・あす(20・21日)の2日間、下のデザインのような小型印が使用されます。(画像はクリックで拡大されます)

      テーマティク出品者の会小型印(2017)

 小型印のデザインの元になっているのは、17世紀のオランダを代表する地図出版家ホンディウスの後継者、ヤン・ヤンソンによる日本地図「日本、蝦夷地、および隣接する島々の新詳細図」です。デザインの都合上、“蝦夷地”の部分が印影の中には入っていないのですが、この地図は、1643年のマルチン・ゲルリッツエン・フリースによる日本北方の探検航海の成果を踏まえ、北海道と千島列島の一部を記載した最初期のものとして知られています。

 ちなみに、日本列島を取り上げた西洋の古地図の切手としては、こんなモノがあります。

      輸入博名古屋

 これは、1985年4月5日に発行された“輸入博名古屋”の記念切手で、アブラハム・オルテリウス による世界地図帳『世界の舞台』(原題はTheatrum Orbis Terrarum)」の1595年版に掲載された日本列島の古地図が取り上げられています。

 1970年代に発生した2度のオイルショックとそれに伴う原料価格の高騰は日本の製造業にも大きな打撃を与えましたが、日本企業は徹底した合理化と品質改善でそれを乗り切り、その結果として、高品質・低価格の日本製品は世界市場を席捲するようになりました。しかし、集中豪雨的とも呼ばれた日本製品の輸出により、各国の製造業は大きな打撃を受け、1980年代以降、日本と各国との貿易摩擦が深刻な外交問題となりました。

 特に、米国では、日本車の輸出攻勢により自動車産業が壊滅的な打撃を被っていたのに対して、アメリカの代表的な輸出品である農産物に関しては、国内農家保護のための日本の輸入制限措置により牛肉などの畜産物やオレンジ、米などがほとんど日本市場に出回らないのは不公平であるとの不満 が高まり、対日感情が悪化していきました。

 このため、米国をはじめ各国との貿易摩擦解消の必要に迫られた日本政府は、さまざまなかたちで輸入促進キャンペーンを展開しましたが、その一環として、1985年3月21日から4月14日の日程で、「広げよう世界交易の輪」のテーマの下、名古屋市国際展示場で“輸入博名古屋(ワールド・インポート・フェア・ナゴヤ’85)”が開催されました。ちなみに、主催者のワールド・インポート・フェア・ナゴヤ’85実行委員会は、開催の趣旨を「世界各国の製品を展示、取引の促進を図り、円滑な経済関係の増進に寄与するとともに各国の技術、文化、生活などを広く紹介し、国際交流の推進を図ること」と説明しています。

 会場は、①カルチャーゾーン(テーマ館および国際友好館で構成)、②トレードゾーン(世界産品の展示)、③バザールゾーン(展示即売会と世界の街並みで構成)、④イベントゾーン(各種イベントの実施)の4区画で構成され、「広げよう世界交易の輪」をテーマに世界40ヵ国が参加しました。

 輸入博名古屋の開催に際しては、国策としての輸入促進に携わる通商産業省(以下、通産省)の申請により、会期中の4月5日に記念切手が発行されました。4月5日という日付は、会期初日ではありませんが、これは、通産省からの書類提出が前年度の特殊切手発行計画の申請締め切りに間に合わなかったため、年度をまたいで4月発行としただけで、特に重要なイベントなどがあったわけではありません。なお、原画作者は大谷文人で発行枚数は2500万枚でした。

 切手に取り上げられた古地図はアブラハム・オルテリウス による世界地図帳『世界の舞台』(原題はTheatrum Orbis Terrarum)」の1595年版に掲載されたもので、オリジナルはイエズス会士でスペイン王室の地図製作者だったポルトガル人、ルイス・テイセラが制作しました。

 ただし、テイセラ本人は日本を訪れたことがなく、この地図は、1579年に来日したイエズス会士アレッサンドロ・ヴァリニャーノが持ち出し、天正遣欧少年使節がヨーロッパにもたらした日本人作成の日本地図(奈良時代の僧・行基が作成したとされる日本最初の日本全図“行基図”の写しと思われる)をもとに作成されています。

 テイセラのオリジナルの地図では、Vacasa(若狭)、Sacay(堺)、Tonsa(土佐)などの地名も書き込まれていますが、切手の図案化に際しては、それらは省略されています。また、オリジナルの地図では日本を示す“IAPONIA”の表示は、音節ごとに区切られて本州部分に小さく記されているのみですが、切手では、各地の地名を省略していることもあって、中央に大きく表示されています。

 なお、テイセラの地図が切手の題材として選ばれたのは、会場内のテーマ館ではさまざまな世界地図の展示が行われましたが、そのメインの展示物がこの地図であったためです。
 
 さて、JTPCは、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。今回の展覧会は、昨年に続き8回目の開催で、会場では古地図を図案としたフレーム切手等も販売します。会期は22日までで、僕も、昨年のニューヨーク展に出品した作品 A History of Hong Kong を出品しております。また、最終日(22日)の午後3時頃からは展示作品の解説も行う予定です。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。


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