内藤陽介 Yosuke NAITO
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 昭和基地60年
2017-01-29 Sun 11:19
 1957年1月29日、南極に昭和基地が開設されてから、きょうでちょうど60年です。というわけで、南極関連の日本切手といえば、やはりこの1枚でしょうか。(画像はクリックで拡大されます)

      国際地球観測年

 これは、1957年7月1日に発行された“国際地球観測年”の記念切手で、観測年のマークと南極観測船“宗谷”、コウテイペンギンを組み合わせたデザインとなっています。

 気象、地磁気、電離層、宇宙線、経緯度、海洋、地震、重力などの諸現象について、期間を定めて、全世界の研究者たちが共同観測を行う極年(Polar Year)は、1882-83年に第1回が実施されました。

 その後、50年後の1932-33年には第2回の極年が行われましたが、科学の急速な進歩を考慮して、第3回目は間隔を短縮して25年後の1957年7月1日から翌1958年12月31日までの間に、“国際地球観測年(International Geophysical Year)”の名のもとに実施されることになりました。ちなみに、この国際地球観測年は、世界各国が協力して特定の事業を行う「国際年」の企画としては最初のものです。

 国際地球観測年の共同観測事業は、ブリュッセルの国際学術連合(ICSU) が国際地球観測年特別委員会(CSAGI)を設置して準備を進め、地球の中心を縦に割って東経10度付近、同110度付近、同140度付近、西経60-70度付近で、また、地球を横に割って北極、赤道、南極の7大地帯でそれぞれ行われました。

 このうち、東経140度付近地帯の中心国となったわが国では、日本学術会議の中に設けられた国際地球観測年研究連絡委員会が学術的な見地から、また、文部省測地学審議会の中に設けられた国際地球観測年特別委員会が関係各機関の行政実務を調整する立場から、それぞれ準備を進めることになりました。当初、日本は赤道観測を行う予定でしたが、予定地の領有権を持つ米国の許可が出ず、1955年2月、南極観測に切り替えています。

 このように、国際地球年の準備が進められていった過程で、1956年11月、内閣官房副長官と文部事務次官は、次年度の記念切手発行計画に関する郵政省からのヒヤリングに応えて、国際地球観測年と南極地球観測の2件を回答しました。

 日本人による本格的な南極観測は、1956年11月に東京港を出港した観測船“宗谷”が翌1957年1月25日に南極大陸に到着し、同月29日にオングル島に昭和基地を設営することでスタートします。

 回答を受けて、郵政省サイドでは、当初、地球観測年と南極観測を別の記念切手として発行することも検討しましたが、1957年1月24日に開催された郵政審議会専門委員打合会議の結果、記念切手の発行は国際地球観測年のみにしぼり、南極観測は切手の図案において表現するということで決着がはかられることになりました。

 切手発行の方針が決定されると、1957年4月9日、郵政省の担当者が文部省3階の南極地域観測統合推進本部を訪ね、宗谷やペンギンの写真などを資料として借用しようとしました。しかし、同本部にはマスコミ各社の閲覧希望者があとをたたず、郵政省が写真原簿を持ち出すことは不可能でした。

 このため、郵政省は同本部の紹介を得て、東京大学南極資料室から資料を借用。また、CSAGI本部で作成した観測年のマーク(地球と人工衛星を描いたものと、これに西暦や記念銘を添えて八角形の枠で囲んだものの二種類があった)については、南極観測隊長の永田武 を通じて、CSAGI本部に使用許諾を求める手続きがとられました。

 一方、切手の発行日としては、観測強化の世界デーにあたる7月4日も考慮されましたが、結局、観測年がスタートする7月1日が妥当ということになり、この日にあわせて作業が進められます。

 4月10日、記念切手はグラビア4色刷とする方針が決められ、久野実、渡辺三郎、長谷部日出男の3人のデザイナーが下図を作成します。これに対して、郵務局長・松井一郎は、オーロラとペンギン、宗谷、観測年のマークを組み合わせた渡辺の原画をもとに、オーロラをやめて観測年のマークを中心に、宗谷とペンギンを添えることを提案。この案に沿って再度、コウテイペンギンを大きく描いた原図が渡辺によって作成されました。その際、画面構成の都合から、観測年のマークは左上に寄せ、半分くらい欠けた形にトリミングして用いられています。

 こうして、5月6日、原画が完成し、印刷局での作業が開始されました。なお、切手の発行枚数は、当初の予定では500万枚となっていましたが、実際には600万枚に変更され、6月21日に記念切手の現品(見本字入り)と記念スタンプの印影を添えた報道資料がマスコミ各社に配布されました。

 切手の発行日には、東京・上野の日本学術会議講堂で、午前9時(グリニッジ標準時の午前0時00分にあたる)から国際地球観測年開始記念式典が行われ、セレモニーの一環として、郵政大臣署名入りの記念切手一シートが長谷川万吉(国際地球観測年研究連絡委員会委員長)に贈呈されています。


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