内藤陽介 Yosuke NAITO
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 千代田区の由来
2017-02-06 Mon 10:18
 小池百合子東京都知事と都議会自民党との“代理戦争”と呼ばれた東京都千代田区長選の投開票が、きのう(5日)行われ、都知事が支持した現職区長が自民推薦候補の3倍を超える得票で5選を決めました。というわけで、きょうは“千代田区”の名前の由来にちなんでこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      万国郵便連合加盟25年絵葉書(千代田城)

 これは、1902年6月18日に発行された「万国郵便連合加盟25年祝典」の記念絵葉書のうち、“千代田城及楠正成銅像”の1枚です。

 現在の千代田区は、19473月15日に麹町区と神田区が合併して誕生したもので、区域が、現在の皇居=“江戸城”の外濠の内側部分とほぼ一致していることから、江戸城の別名である“千代田城”にちなんで命名されました。ちなみに、千代田城という名前は、江戸城の建設された土地が千代田村と呼ばれていたことによるもので、千代田そのものは、“千代=永遠”の“田”、すなわち、末々まで繁栄し続ける田園地帯との意味です。なお、千代田城とともに葉書に取り上げられた楠公像は、住友財閥が1890年の別子銅山創業200年の記念事業として東京美術学校の高村光雲らに制作を依頼したもので、1900年7月に完成し、宮内庁に献納されました。

 さて、今回ご紹介の葉書は、1900年10月1日の郵便法施行により、私製はがきの使用が認められたことを受けて、逓信省が発行した官製記念絵葉書としては最初のものとなります。

 しばしば誤解されるのですが、郵便法の施行以前にも、あらかじめ印面が印刷された官製はがき以外の用紙を使って葉書状のものを郵便で送ることは可能でした。しかし、それらはあくまでも、通常の封書と同じ扱いで、割安な葉書料金で送ってよいのは官製はがきに限られていました。

 一方、諸外国でも、当初、葉書は官製はがきに限定されていましたが、1872年、世界で初めて、ドイツで私製はがきの使用が認可されます。

 官製はがきしかなかった時代から、通信面に絵柄などを刷り込んだ絵葉書は自然発生的に作られていましたが、当時の印刷技術では、葉書の用紙には写真を美しく再現することが困難であるなど、さまざまな制約があったため、官製はがきの制約にとらわれず、より自由なデザイン、趣向の葉書を作って差し出したい利用者は、個人で葉書の用紙を調達して差し出していました。その場合、料金は通常の封書料金と同額です。

 これに対して、郵送するものの形状・重さが官製はがきと同じであるなら、料金も葉書料金とすべきではないかとの声が利用者から上がり、ドイツの郵政当局は(主として絵葉書を想定して)私製はがきの使用を承認。これに続き、翌1873年にはフランスでも私製はがきの使用が認可されると、私製の絵はがきをやり取りする習慣は欧州大陸に広まり、1894年にはドーヴァー海峡を渡って英国へ、さらに、1989年には米国でも私製はがきの使用が認められるようになり、諸外国と平仄を合わせるかたちで、1900年にはわが国でも(葉書料金での)私製はがきの使用が認められるようになったというわけです。

 なお、諸外国では、“官製絵はがき”という場合、郵政機関が料額印面こみで発行するものが主流となっていますが、戦前日本の逓信省発行の絵はがきの場合は印面なしのものが大半であるため、海外の切手展などでは“官製”と認定されないことが少なくありません。

 さて、現在の“万国郵便連合(Union Postale Universelle)”の前身にあたる“一般郵便連合(Union Postale Generalle)”に、1877年6月1日付でわが国の加盟が認められたのは、同年3月3日のことでした。ただし、通達の遅れから、日本政府が条約を公布したのは6月19日にずれ込み、同条約の施行は翌20日からとなります。

 現在、わが国の万国郵便連合加盟記念日は、日本政府が加盟申請を行ったのが明治10年2月19日だったことから、2月19日とされていますが、今回ご紹介の葉書の発行名目となった万国郵便連合加盟25周年祝典は、条約施行の記念日に合わせて、6月20日に行われており、葉書は、これに先立ち、同月18日に発行されました。

 ちなみに、葉書は6枚1組で売価は5銭。そのデザインは、今回ご紹介のモノに加え、①山陽道沿岸の鉄道での郵便受け渡し場、②明治10年の条約加盟当時の駅逓局と日本の加盟を承認した大会議が行われたスイス・ベルンの会議場、③祝典当時の郵便航路を含む日本地図、④条約加盟当時の横浜郵便局と、祝典当時の横浜郵便局、⑤東京郵便電信局舎と郵便発着口、の計6種がありました。


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