内藤陽介 Yosuke NAITO
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 朴槿恵大統領、失職
2017-03-10 Fri 15:27
 韓国の憲法裁判所は、きょう(10日)、国会が可決した朴槿恵大統領(以下、敬称略)の弾劾訴追を妥当との判断を下しました。これにより、朴槿恵は大統領を罷免されて即時失職。任期中の大統領の罷免は韓国の憲政史上初めてのことです。というわけで、今日はストレートにこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      韓国・朴槿恵大統領就任

 これは、2013年の朴槿恵大統領就任時に韓国で発行された記念切手です。

 朴槿恵は、1952年2月20日、大邱生まれ。1961年のクーデターで父親の朴正熙が政権を掌握したことに伴いソウルに移り、1974年、西江大学校電子工学科を卒業。卒業後はフランスへ留学しましたが、1974年、いわゆる文世光事件で母親の陸英修が暗殺されたため、急遽留学先のフランスから帰国。1979年に父親が暗殺されるまで、ファーストレディー役を務めました。父の死を耳にした際の第一声は、混乱に乗じた北朝鮮の南侵を懸念した「休戦線は大丈夫か」だったというエピソードは有名です。

 その後、ガールスカウト団名誉総裁、財団理事長を務めた後、1998年に行われた国会議員補欠選に当選し政界入り。当選後は、保守系のハンナラ党副総裁など党要職を歴任。2002年2月にハンナラ党を離党した後、同年末に行われる大統領選挙に向け新党「韓国未来連合」を結成しましたが、11月にハンナラ党に復帰しています。

 2004年3月23日、ハンナラ党の代表に就任。同年の選挙では、ハンナラ党の苦戦が予想されていましたが、朴槿恵の知名度と人気で後退は最小限にとどまり、“ハンナラ党のジャンヌ・ダルク”と呼ばれました。2006年5月20日、遊説中にカッターナイフで男に切り付けられ、右耳下から顎にかけて60針縫う手術を受けた際には、盧武鉉大統領の支持団体からは、「60針を縫ったのは整形手術」と揶揄されましたが、それが逆に一般国民の反感を招き、地方選挙でのハンナラ党圧勝につながりました。この実績から、2007年大統領選挙の有力候補とみられるようになり、同年6月、ハンナラ党の代表を辞任して大統領選挙の準備に専念したものの、党の公認候補にはなれませんでした。

 その後、2012年の大統領選挙を目指して、2010年12月27日、「国家未来研究院」を創設。重要選挙でのハンナラ党のあいつぐ敗北と関係者のスキャンダルにより党代表の辞任が相次いだことを受けて、2011年10月、非常対策委員会の委員長として5年5ヶ月ぶりに党の指揮を執り、ハンナラ党をセヌリ党と改称したうえで、翌2012年の総選挙では単独過半数を維持。セヌリ党の大統領候補として地位を固め、12月19日の大統領選挙で当選を果たしています。

 父親の朴正煕が日本の陸軍士官学校を卒業して満洲国軍に在籍していたことから、朴槿恵に対しては早くから“親日派”との批判が浴びせられていたこともあって、大統領就任直後の2013年3月1日、朴槿恵は三・一独立運動記念式典では、「(日本と韓国の)加害者と被害者という歴史的立場は、1000年の歴史が流れても変わることはない」と演説。その後も、“歴史認識”やいわゆる“慰安婦問題”などで日本批判を続けたため、日韓関係は冷却。その欠を補うために対中傾斜を強め、そのことがますます、日韓関係を悪化させるという悪循環を招きました。

 発足後間もない2013年3月7日、朴槿惠政権は、中露を巻き込んで国連安保理の新たな北朝鮮制裁決議(2094号)を全会一致で採択させることに成功しましたが、2014年の旅客船セウォル号の沈没事故への韓国政府の対応のまずさから政権への支持率は急落。さらに、2016年1月の北朝鮮の核実験後、韓国が中国に対北朝鮮制裁で協力を求めたにもかかわらず、中国側は対話を通じて解決することを強調するなど、安全保障面では、朴政権の対中外交はさしたる成果は上げることができませんでした。このため、2016年7月、韓国国防省と在韓米軍がTHAADミサイルを在韓米軍に配備することを決定しますが、そのことは、中露の強い反発を招き、対中関係も冷却。中国は“限韓令”として、韓国からの輸入規制措置・非関税障壁・韓流排除などの露骨な貿易報復措置を発動し、経済状況も大きく悪化しました。

 こうした中で、2016年10月、大統領の個人的な友人・崔順実による国政介入問題(崔順実ゲート事件)が発覚したことで、支持率はさらに落ち込み、11月初頭には5%までに下落。このため、11月29日には、大統領の任期短縮を含む自らの進退をすべて国会に委ねる意向を表明すると、12月9日、国会は大統領の弾劾訴追案を可決。これを受けて、同日、大統領としての彼女の職務が停止され、きょうの憲法裁判所の判断となったといわけです。

 なお、今回の大統領失職を受けて、60日以内(5月99日まで)に、韓国では大統領選挙が実施されることになっています。韓国では、毎回、新大統領に就任に合わせて記念切手を発行していますので、次期大統領の就任時にも、慣例に従い、肖像を取り上げた記念切手が発行される可能性が高いでしょう。ただし、今回の一件で、大統領職そのものの権威が大きく傷ついたことは否めませんので、ひょっとすると、今回ご紹介の切手が韓国新大統領就任の記念切手としては最後の1枚になるかもしれません。

 さて、いまから10年近く前の2008年、僕は『韓国現代史』と題する拙著を上梓しましたが、同書は、李明博政権の発足までしかカバーしていません。来年は大韓民国の正式成立から70周年でもありますし、可能であれば、李明博以降の10年間を追加したアップデート版を作ってみたいですね。


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