内藤陽介 Yosuke NAITO
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 奴隷及び大西洋間奴隷貿易犠牲者追悼国際デー
2017-03-25 Sat 22:46
 きょう(25日)は、2007年の国連総会で制定された“奴隷及び大西洋間奴隷貿易犠牲者追悼国際デー”です。というわけで、大西洋を渡ってアフリカから米州に連れて行かれた奴隷に関する切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ブラジル・黒い母(1971)

 これは、1971年にブラジルで発行された“新生児解放令100周年”の記念切手で、ルチリオ・デ・アルブケルケの「黒い母」が取り上げられています。

 ブラジルでは1822年の独立後も奴隷制が維持されていましたが、ドン・ペドロ2世はこれを徐々に廃止の方向へと導き、1888年の黄金法をもって奴隷制は完全に廃止されました。その過程で、1871年に新生児解放令が発せられ、同法の施行以降に生まれた子供は、親が奴隷であっても、自由人の身分が保障されることになりました。今回ご紹介の切手は、そこから起算して100周年になるのを記念して発行されたものです。

 切手に取り上げられた「黒い母(Mãe Preta)」は、白人の下で働く黒人乳母のことで、腹を空かせた自分の子供を放置したまま、主人の子に授乳する乳母の姿が画題となっています。ちなみに、そうした“黒い母”は奴隷解放後も、白人の中上流家庭で数多く働いており、彼女たちの悲哀はブラジルの文化シーンでは定番のモチーフのひとつとなっています。有名なところでは、ポルトガルを代表するファドの女王、アマリア・ロドリゲスの出世作となった『暗い艀』の元ネタとなったブラジルの楽曲『黒い母』等が挙げられましょうか。

 なお、切手に取り上げられた「黒い母」の作者、ルチリオ・デ・アルブケルケは1877年のバラス生まれですから、黄金法で奴隷制が完全に廃止されたときでも11歳。リオデジャネイロの国立美術アカデミーでエンリケ・ベルナルデリの指導を受けて、画家としてのキャリアをスタートさせたのは20世紀初頭のことでしたから(ちなみに、没年は1939年)、彼自身は奴隷制の時代とはほとんど無関係です。その意味では、この作品も、奴隷制の廃止後もブラジル社会に広く見られた“黒い母”を取り上げたものとみるのが自然でしょう。

 ちなみに、リオデジャネイロの国立歴史博物館の展示の中には、新生児解放令の理念を表現したものとして、下の画像のようなブロンズ像が展示されていましたが、こちらもなかなかいい出来なので、記念切手の題材としては、こちらを選んだ方がよかったのではないかと、僕は個人的に思っています。

       ブラジル・新生児解放令ブロンズ像 

 なお、リオデジャネイロの国立歴史博物館とその所蔵品については、拙著『リオデジャネイロ歴史紀行』でもいろいろ取り上げておりますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。      


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