内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ガダルカナルからの葉書
2017-04-29 Sat 10:53
 きょう(29日)は“昭和の日”です。というわけで、最近入手した昭和史ネタのマテリアルの中から、この1点を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ソロモン諸島・ガダルカナルの戦い(実逓葉書)

 これは、1992年にソロモン諸島で発行された“ガダルカナルの戦い50周年”の記念切手(単片10種の組み合わせシート)のうち、5種類の切手を貼った拙宅宛の葉書です。切手は今月初めにガダルカナル島に行ったときに、現地の郵便局で絵葉書と一緒に買って、自分宛に差し出したもので、拙宅には25日に到着しました。なお、ソロモン諸島から日本宛の現行の葉書料金は4ドルですので、80セント切手5枚で料金はピッタリとなっています。

 ソロモン諸島というと、実際に郵便に使用するためというより、収集家目当ての“いかがわしい切手”を濫発する国として、収集家の間では評判が芳しくありません。今回ご紹介の“ガダルカナルの戦い50周年”などは、たしかにソロモン諸島が戦場となったという点では自国に関係のある題材ではあるのですが、一般には“いかがわしい切手”とみなされることが多いように思います。ただし、今回、この切手を貼った郵便物が実際に拙宅まで到着したということは、ソロモン諸島では、モザンビークのように“(郵便には使えない)フィラテリー用の切手”と“実際に使える切手”を区別することはなく、とりあえず、同国名義で発行された切手はすべて郵便に使えるということが確認できました。

 第二次大戦中の1942年5月3日、日本軍は英領ソロモン諸島のツラギ島に進出。その後、この地域の制空権を確保するため、7月から隣接するガダルカナル島のルンガ地区に建設工事を開始して、8月5日には滑走路の第1期工事が完了しました。日本軍はこの飛行場をルンガ飛行場と命名します。

 これに対して、8月7日、米軍の第1海兵師団がガダルカナル島に上陸し、飛行場を占領。同12日、米軍は飛行場をヘンダーソン飛行場と改称します。この名前は、2ヶ月前のミッドウェー海戦で戦死した海兵隊の航空指揮官、ロフトン・R・ヘンダーソン少佐にちなんだものでした。

 その後、約2週間で1100mの滑走路1本が完成し、ヘンダーソン飛行場は米軍の一大反攻基地となりますが、日本軍も飛行場奪回を目指して猛攻を加え、この飛行場をめぐって激戦が展開されます。最終的に、1943年2月、日本軍は“転進(=撤退)”を余儀なくされましたが、ガダルカナル島に上陸した約3万名の日本軍将兵のうち、撤退できたのは1万名余しかおらず、戦死者2万1000名のうち、1万5000名は病死または餓死だったといわれています。このことから、ガダルカナル島、略してガ島は“餓島”とさえいわれました。

 さて、今回ご紹介の葉書に貼られている切手ですが、上段左から、①1942年8月9日、ガダルカナルをめぐる第一次ソロモン海戦で沈没した米海軍の重巡洋艦クインシー、②同じく8月9日に大破炎上した豪海軍の重巡洋艦キャンベラ、③米海兵隊のガダルカナル島上陸場面、下段左から①ヘンダーソン飛行場を拠点に活躍した米海兵隊のF4Fワイルドキャット戦闘機、②日本軍の攻撃を受けながらの飛行場の建設、がそれぞれ取り上げられています。

 ちなみに、絵葉書の絵面には、ホニアラのオースティン山にあるソロモン平和慰霊公苑が取り上げられています。葉書絵面の画像の隣には、僕が実際に現地で撮った写真も貼っておきます。

      ガダルカナル絵葉書・裏面  ソロモン平和慰霊公苑

 ソロモン平和慰霊公苑は、1984年に日本の戦没者慰霊協会によってオースティン山頂に建設され、2011年の改修を経て、現在の姿になりました。ちなみに、公苑のあるオースティン山からギフ高地を通ってククムへの道は、日本軍が米軍に対して必死の抵抗を見せた激戦地でした。公苑内の、十字の通路が付けられた慰霊塔の中心には、国籍・民族を問わず、先の大戦で犠牲となった全ての人の霊が集まるという黒石が置かれており(下の画像)、集まった霊はそこから昇天し、あるいは故郷に帰っていくことを表現しているのだそうです。

      ソロモン平和慰霊公苑・黒石

 ガダルカナルというと、どうしても、第二次大戦中の激戦地というイメージが強いのですが、1568年にスペイン人が上陸して以来の歴史をひも解いてみると、いろいろと興味深いエピソードがあります。いずれそれらをまとめて、いままでとはちょっと違った視点から、複合的に“ガダルカナル”の過去と現在を考える物語をまとめられてみたいですね。
 

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