内藤陽介 Yosuke NAITO
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 仏強襲揚陸艦が佐世保入港
2017-04-30 Sun 10:54
 日米英仏4カ国による初の合同訓練に参加するため、昨日(29日)、フランス海軍の強襲揚陸艦“ミストラル”が海上自衛隊佐世保基地に寄港しました。ミストラルの寄港は、朝鮮国連軍地位協定(現在も有効)により日本国内の基地利用が認められている12ヵ国にフランスが含まれることによるものです。というわけで、今日はこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      韓国・ラルフ・モンクラール(2015)

 これは、2015年に韓国で発行された“朝鮮戦争の英雄”の切手のうち、国連軍参加のフランス軍部隊を率いたラルフ・モンクラールを取り上げた1枚です。

 ラルフ・モンクラール(本名:ラウル・マグラン・ヴェルヌレー)は、1892年2月7日、ハプスブルク帝国支配下のハンガリー・ブダペストで生まれました。ちなみに、フランスでは外国人部隊への入隊の際は本名を変更し、部隊特有のアノニマと呼ばれる制度によって偽名にすることが要求されるため、ヴェルヌレーは本名を隠し、モンクラールの名で活動しました。

 15歳でフランス外国人部隊への入隊を志願したものの年齢制限ゆえに許されなかったため、1912年、フランスのサン・シール陸軍士官学校に入学。1914年に同校を卒業して少尉として任官し、第一次大戦中は、7回負傷しながら、11回、公報で名前が報じられるなどの軍功を上げ、レジオン・ドヌール騎士賞を授与されています。

 両大戦の戦間期には、レヴァント(地中海東岸)、モロッコ、アルジェリア、サイゴン等で勤務。第二次大戦中の1940年には、ドイツ軍の占領下にあったノルウェー北部の不凍港ナルヴィクの奪還作戦で活躍しました。その後、自由フランス軍に加わって中東・北アフリカ戦線で戦い、戦後は外国人部隊の監察官に就任します。

 1950年に朝鮮戦争が勃発し、国連の要請に応じて、フランス軍も“フランシス大隊”1400名を朝鮮に派遣することになると、モンクラールは、共産主義と戦うべく、同大隊への参加を志願。大隊の指揮官となるため、自らの階級を陸軍中将から中佐に下げて、従軍しました。

 フランシス大隊は、1950年11月29日、釜山に到着した後、米第2歩兵師団第23連隊の指揮下に入り、1951年1月7-12日には、中国人民志願軍の参戦を得て攻勢に転じた朝鮮人民軍の進撃を江原道南部の原州で食い止め、2月には京畿道楊坪の砥平里で中国人民志願軍第39軍配下の3個師団の集中攻撃を4日間にわたって防ぎきり、国連軍再反撃の土台を固めました。現在でも、当時、フランス軍の司令部が置かれていた砥平醸造場には記念碑が建てられています。

 また、1951年10月の“ハート・ブレイク・リッジの戦い”では、一月にも及ぶ激戦の結果、フランス軍は60名の戦死者と200名の戦傷者を出しており、朝鮮戦争に参加したフランス軍将兵の総数は累計3421名中、戦争の全期間を通じての死者は261名に及んでいます。

 なお、フランス軍を含む朝鮮国連軍については、1951年9月、吉田・アチソン交換公文により、サンフランシスコ平和条約の発効後も日本国内に滞在することを許し、かつ、容易にする義務を受諾。その後、1953年7月の休戦を経て、1954年6月、朝鮮国連軍が我が国に滞在する間の権利・義務その他の地位及び待遇を規定する“国連軍地位協定”が締結され、現在に至っています。また、同協定の第5条により、朝鮮国連軍は日本内7か所の在日米軍施設・区域(キャンプ座間、横須賀海軍施設、佐世保海軍施設、横田飛行場、嘉手納飛行場、普天間飛行場、ホワイトビーチ地区)を使用することができるとされており、今回のミストラルの佐世保寄港はこの規定によるものです。

 なお、朝鮮戦争とフランスとの関係については、拙著『朝鮮戦争』でもまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。
 
 
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 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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