内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 八十八夜
2017-05-02 Tue 10:08
 きょう(2日)は八十八夜です。というわけで、例年どおり、茶摘みの切手の中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      スリランカ・茶のセリ100年

 これは、1984年にスリランカが発行した“コロンボ茶市場100周年”の記念切手で、セイロン島での茶摘み風景が取り上げられています。

 1815年に英領となったセイロン島では、1825年にコーヒーの栽培が開始され、主としてスコットランドから多くの開拓者が移住し、1857年までには3万2000ヘクタール以上のコーヒー農園が開拓されていました。この間、1839年には、カルカッタ(現コルカタ)植物園長のウォリックがアッサム種の茶の苗をキャンディに送りましたが、当時はコーヒー栽培のほうが利益が大きかったため、茶の栽培は普及しませんでした。

 1866年、セイロンのコーヒー農園で働いていたジェームズ・テーラーは、雇用主の命を受けてインドに渡って茶の栽培を学び、翌1867年、ルレコンデラ茶園での栽培を開始します。インドでは中国から茶が導入されてから栽培に成功するまで15年かかりましたが、テーラーは2年ほどでセイロン島での茶栽培に成功しています。

 時あたかも1869年、キャンディでサビ病(サビ菌がコーヒーの葉の裏側に付着して葉肉を浸食し、樹木本体を枯らしてしまう病害)が蔓延し、島内のコーヒー農園が壊滅的な打撃を受けたため、テーラーの成功もあって、急速に茶の栽培への転換が進みました。

 1872年、テーラーは本格的な製茶工場を創業。彼は、揉念機を導入するとともに、交配による品種改良も行い、茶葉の品質向上に力を注ぎます。また、1875年には、満を持して製品をロンドンの茶市場に送り、高い評価を得るなど、セイロンにおける茶産業の基礎を築きました。その結果、1883年には、コロンボでも最初の茶の取引市場がオープンするまでになります。今回ご紹介の切手は、ここから100周年になるのを記念したものですが、実際の切手発行は100周年の1983年には間に合わず、1984年1月31日にずれ込んでいます。

 こうした経緯を経て、セイロンの茶葉の品質に目をつけたスコットランドの商人、トーマス・リプトンは、1890年、セイロンの茶葉の欧米向けの輸出を開始。さらに、1892年にテーラーが亡くなると、みずから、ウバのハプタレー地域に広大な紅茶農園を開業し、インドのアッサム種の本格的な生産に乗り出しました。リプトンは、ブレンディングの技術を導入することで、紅茶の風味を向上させます。彼の農園の紅茶は「茶園から直接ティーポットへ」との宣伝文句とともに、英国を始め各国で人気を博し、“紅茶王”リプトンとセイロン・ティーは世界中にその名をとどろかせました。

 現在、スリランカはインド、ケニアに次いで世界第3位の茶の生産地で、旧称の“セイロン”は現在なお紅茶の代名詞となっています。セイロン島での茶葉の主な産地は、中央の山岳地帯を挟んで南東側のウバ地区と西側のディンブラ、ヌワラエリア地区で、それぞれ、ハイグロウンティー(標高1300m以上)、ミディアムグロウンティー(670-1300m)、ローグロウンティー(670m以下)のランク(より高地で生産されたものが高品質です)に分れています。

 
 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 

      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。
スポンサーサイト

別窓 | セイロン・スリランカ | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< ホノルル空港がイノウエ空港に | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  ボーパールのトラ対策>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/